第五話
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第五話 二匹の考え
華奈子は博士との対決姿勢を強める。だがタロとライゾウは少し事情が違っていた。
「なあ旦那」
二匹は昼間留守番をしながらテレビを観ていた。その最中ライゾウがタロに声をかけてきた。
「どうしたんだい?」
「いやさ、おいら達の兄弟のことだけれど」
ライゾウは言う。
「困ったことになったな」
「確かにね」
タロもライゾウのその言葉に頷く。
「聞いたところあの天本博士というのはとんでもない人らしいけれどね」
「とんでもないどころじゃないぜ、ありゃ」
ライゾウは天本博士を評してこう言う。
「完全なマッドサイテンティストじゃないか。警察はどうしてあんなの放っておくんだよ」
「警察どころか自衛隊も各国のSPも出たことがあるらしいね」
「けれど駄目だったのか」
「それどころか南極に幽閉したのに」
「出て来たと」
「うん、そんな人」
タロはそう説明する。
「どうする?」
「あの博士がどうなろうと構わないんだ」
ライゾウはまずこう前置きした。
「しかしさ、やっぱり」
「そうだね、僕達の兄弟だよね」
タロも言う。
「どうしようか」
「そうだなあ。あまり頼みたくはないけれど」
ライゾウは前足を組んで言ってきた。深刻な顔を見せている。
「御主人の二人の大叔母さんに頼んでみる?」
「あの人に?」
「そう。どうかな、それで」
「そうだね」
タロはテレビを見ながらそれに応える。顔が暗くなってきていた。
「悪くはないと思うよ」
「そう。じゃあ」
「ただし」
ここでタロは付け加えてきた。
「わかってるよね」
「ああ」
ライゾウはそれに頷いてきた。
「あの人達だからな」
「手強いし厳しいよ」
タロはそう前置きしてきた。
「それを覚悟しないといけないけれど」
「けれど仕方がないや」
ライゾウは意を決して言う。
「事態が事態だからな」
「そうだね」
タロもそれに頷く。これで決まりであった。
二匹は華奈子と美奈子の大叔母の家に向かう。それにはかなり意を決していた。今自分達の兄弟と話をする為に彼等も動いたのであった。
第五話 完
2007・1・31
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