愛四百九十九話
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第四百九十九話 鍋
今日子先生は家に帰った。するとすぐにだった。
今田先生から携帯にメールが来た。そこにはこう書いてあった。
「あら、御呼ばれなのね」
微笑んでの言葉だった。
「それじゃあ」
こうしてだった。そのままの身なりでだ。
今日子先生は今田先生のところに来た。そのうえで先生に問うたのである。
「それで何かあったの?」
「今日晩御飯どうかなって思って」
それで誘ったというのだ。
「いる?」
「実は今から晩御飯作ろうと思ってたけれど」
今日子先生はこう今田先生に答える。
「天丼ね」
「あっ、自分で作るつもりだったの」
「天麩羅は買って」
自分から作るものではないというのだ。
「それで丼の上に乗せて」
「おつゆかけたら完璧ね」
「そう。だから」
「簡単にできるから」
「それで考えてたんだけれど」
「御飯はもう炊いたの?」
今田先生は今日子先生にこのことを尋ねた。
「それはどうなのかしら」
「あっ、まだよ」
今日子先生は今田先生にすぐに答えた。
「研いでもいないわ」
「じゃあまだ何もしていないのね」
「ええ、そうなの」
「天麩羅はどうしたのかしら」
「それもまだなの」
買っていないというのだ。つまり今の今日子先生は晩御飯の支度は何もしていないのだ。全てはこれからすることだというのだ。
それを聞いてだ。今田先生は今日子先生にこう話した。
「それじゃあ私のところで食べてもいいわよね」
「そうしていいのね」
「いいわよ。だって私と今日子ちゃんの仲じゃない」
だからいいとだ。今田先生はにこりと笑って述べた。
「遠慮することないから」
「ううん。そこまで誘ってくれるなら」
「お鍋作るつもりだったの」
「あっ、お鍋なの」
鍋と聞いてだ。今日子先生は少しだけ考えてそれからこう尋ねた。
「何鍋なのかしら」
「水炊きよ」
それだとだ。今田先生も答える。
「鶏肉とお葱やお豆腐入れてね。白菜にシメジにエノキも入れて」
「後は菊菜に糸こんにゃくよね」
「そういうの入れて作るから」
こう言ってだ。先生達は鍋の支度に入るのだった。
第四百九十九話 完
2012・6・15
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