暁 〜小説投稿サイト〜
対決!!天本博士対クラウン
第四百九十七話

[8]前話 [2]次話

                第四百九十七話  すっかり忘れてしまって
 タロとライゾウはカーテンコールまで全て観た。そのうえでだ。
 タミーノとフィガロにだ。こんなことを言ったのだった。
「ううん、全部観てね」
「満足したよ」
「これが歌劇なんだね」
「実際にこの目で観ると全然違うんだな」
「だからこそ総合芸術なのです」
「そこにあるのは一つの芸術だけではないのです」
「歌に演技に衣装だよな」
「後は舞台に演出に」 
 ライゾウとタロはこうタミーノとフィガロに答える。
「オーケストラもあるしな」
「それで総合芸術なんだね」
「だからこそオペラは感動できるのです」
「歌舞伎や京劇、ミュージカルも同じですが」
 そうしたものもやはり総合芸術だというのだ。
「あらゆる芸術が一つになりハーモニーを醸し出すからこそです」
「カーテンコールまでこの目で観ると感動するのです」
「だよな。いや、本当にな」
「いいもの観たよ」
 二匹は心から喜んで話していた。そうしてだった。
 ライゾウがタミーノとフィガロに対して話す。もうカーテンコールも終わっている。その遂に静かになり幕が降りている舞台を観ながら話したのである。
「じゃあこれからどうするんだよ」
「これからですか」
「どうするかですね」
「舞台も終わったからな」
 ライゾウは気付かないまま二匹に話す。
「これからどうするんだよ」
「はい、後は帰りましょう」
「そうしてゆっくりしましょう」
 タミーノもフィガロもこう言った。
「では今から」
「家に帰りましょうか」
「そうだね。それがいいね」
 タロの方がライゾウより先に賛成してきた。
「じゃあ今から帰ろうか」
「はい、そして休みましょう」
「今日の目的はこれで終わりました」
「ああ、いい舞台だったよ」
 ライゾウはここでも気付かない。
「また来ような」
「そうしようね。ここまで来るには時間がかかったけれど」
「来てみてよかったな」
「うん、そうだよね」
 ライゾウもタロも満足していた。そうして。
 タミーノとフィガロも家に帰る。四匹はここでも一緒だった。
 帰り道についたところでだ。ライゾウはふとこう言った。
「何か忘れてる気もするけどいいか」
「何もないと思うよ」
 タロはこうライゾウに返した。彼等は何も気付かないまま、思い出せないまま彼等の家に戻った。華奈子達がいるその家にだ。


第四百九十七話   完


                    2012・6・6
[8]前話 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ