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対決!!天本博士対クラウン
第四百八十六話

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                   第四百八十六話  妹に教えること
 梨花は妹の利奈にこんなことを言われていた。その言われたこととは。
「勘?」
「うん、お姉ちゃん勘とかは鋭い方?」
「勘って言われても」
 クラウンのリーダーとしてだ。梨花はいつもしっかりすることを心掛けている。だがそれでも勘となるとだ。それについてはというと。
「実はあまり頼らない様にしてるの」
「どうしてなの?」
「メンバーに勘の鋭い娘もいるし」
 言いながら華奈子の顔を思い出す梨花だった。
「それに勘に頼るより目や耳で見聞きしたうえでしっかりと考えて判断しないとね」
「駄目なの?」
「お姉ちゃんはそう考えてるの」
 こう妹に話す。
「勘よりも頭なの」
「何かそれって」
「駄目?」
「勘も大事だと思うから」
 利奈はまだ子供だがそれでもだ。勘の大事さは感じ取っていた。それでこう姉に言ったのである。そしてここでだ。梨花の使い魔であるピエールとジュリエッタがだ。
 ふとだ。自分達の魔術で彼等がいる部屋の中にあった消しゴムを梨花に飛ばして軽く飛ばした。するとだ。
 梨花は無意識のうちに首を捻ってその消しゴムをかわした。その動きを見てだ。
 利奈は目を丸くさせてだ。こう言ったのだった。
「お姉ちゃん、今のって」
「どうかしたの?」
「消しゴム飛んできたけれど」
「あっ、そうだったの」
「御主人様ってこうだからね」
「無意識のうちにかわせるからね」
 そのピエールとジュリエッタも言うのだった。
「勘は実はいいんだよね」
「華奈子さんみたいなことできるから」
「けれどそれでも勘はあてにしないから」
「かえって凄いんだよね」32
「そうそう、真面目っていうか」
「何か違うね」
「私そんなに勘いいかしら」
 しかし本人はこう言うのだった。特に何とも思っていない顔で。
「だから勘とかはね」
「どうでもいいんですね」
「ご主人的には」
「頼らないんですね」
 ピエールにもジュリエッタにもこのことはわかった。そしてだ。
 二匹で納得した顔になった。そしてこう言うのだった。
「そこがかえって凄いよね」
「そうだね。そうしたご主人だからね」
「だからかえってね」
「信用できるよね」
 こう言うのだった。その梨花はというと。
 まだ利奈に驚きの目で見られている。だがやはりこう言うのだった。
「だから。そうした勘とかよりもね」
「けれどお姉ちゃん本当に勘も凄いから」
 それがある人間の言葉にしか聞こえないのだった。今の利奈には。


第四百八十六話   完


                    2012・4・25
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