第四百八十五話
[8]前話 [2]次話
第四百八十五話 二羽の使い魔達は
ビルガーとファルケンは主の美樹の部屋にいた。そしてそこで話していた。
「僕達は鳥だけれど目は見えるね」
「ああ、夜でもね」
「うん、夜でも見られるよね」
「使い魔だからね」
それ故にだとだ。ファルケンはビルガーに答えた。
「そのお陰でね。ただね」
「ただっていうと?」
「若し使い魔でないのなら」
そうならだというのだ。ここでファルケンは言うのだった。
「私達だってね」
「夜だと見えなくなってたか」
「ええ。鳥だから」
それもだ。普通の鳥である。梟やミミズクとは違うのだ。そうした鳥は例外であり普通の鳥は夜だと目が見えなくなるのだ。それが鳥というものだ。
それでだ。ファルケンはまたビルガーに話した。
「私達はご主人様に使い魔にしてもらってね」
「それでだったね。それまではね」
「夜だと見えなかったね」
「ええ」
まさにだ。その通りだというのだ。
「鳥の弱点は夜なのよ」
「そうだよね。夜だよね」
「そう、夜」
「使い魔は夜に活動することも多いから」
「夜に動けないと話にならないからね」
こうした話をしてだ。彼等はだ。
少し寝た。いや、少しのつもりだった。
だが起きるともう外は真っ暗だった。だが、だ。
彼等はその夜の世界も見えていた。それでこう言うのだった。
「夜も世界も奇麗だよね」
「ええ、そうよね」
「お星様もお月様もね」
「凄く奇麗よね」
ビルガーもファルケンも夜空を見ていた。そのうえでの言葉だった。
そしてそのうえでだ。こうも言うのだった。
「じゃあ今日は御主人と一緒にね」
「夜の町に出てみる?」
「そう、そしてお月様やお星様を見てね」
「そうするのね」
こう話すのだった。そして部屋にだ。
美樹の気配が近付いてくる。その中でだ。ビルガーが言ってきた。
「じゃあ今から」
「御主人様に言おうね」
「ええ、それじゃあね」
「今からね」46
「お月様とお星様を見てね」
「楽しもうか」
そうした話をしながら二羽は夜空を見ている。そうしてだ。
二人の主が来るのを待っていた。夜の美しさを見る為に。
第四百八十五話 完
2012・4・25
[8]前話 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ