第四百八十四話
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第四百八十四話 第六感
赤音は姉の葵にこんなことを言われていた。その言われることとは。
「第六感?」
「そう。目とか耳だけじゃなくてね」
「その第六感があるとかなり違うのね」
「そうよ。赤音ちゃんも勘で動いたりするじゃない」
「ううん、私勘は自信ないけれど」
そのいつもこけるどじなところからだ。赤音は自分のそうしたことには自信がなかった。それで活発で勘のいい感じの姉に憧れているところもあるのだ。
だからだ。一緒にいる使い魔のジップとハリーにも言ったのである。
「勘に頼っても私の場合はね」
「それは御主人が自信がないだけじゃないかな」
「そうだよね」
二匹はこう言うのだった。
「御主人は確かに運動神経はあまりだけれど」
「持久力はある方だし勘も悪くないよ」
「そうだよね。ふと気付くことも多いし」
「勘はいい方じゃないかな」
むしろそうではないかというのだ。これが二匹の見立てだ。
そして彼等のその見立てを聞いてだ。葵も言うのだった。
「そうだよね。魔法の使い方だってね」
「勘で咄嗟にいいやり方見せたりするから」
「そうね。ジップとハリーの言う通りよ」
その通りだとだ。葵は二匹の言葉に頷いた。
そのうえでだ。妹にこう言ったのである。
「大丈夫よ。赤音ちゃんは私の妹だから」
「お姉ちゃんの妹だから?」
「そう。勘は悪くない筈よ」
「そうなのかしら。私は自分では」
「自信がないだけよ」
姉はそう見ていたのだ。妹のことを。
「何に対してもだけれどね」
「ううん。確かに自信はないけれど」
赤音は困った様な顔で述べる。
「それでも自分で自分はわかってるつもりだけれど」
「いや、どう見ても過小評価だから」
「自信がなさ過ぎるよ」
主にまた言う使い魔達だった。
「もう少し自信を持ってさ。勘にもね」
「御主人は普通以上にできてるからね」
「だといいけれど」
何となく気を上向きにさせてだ。赤音は応えた。
「それでも。果たして」
「だから。あれこれ考えるのもよくないのよ」
姉は今度は優しく声をかける。
「自分ではできるんだって思ってね」
「そうしていくことが大事なの?」
「そうよ。赤音ちゃんはできる娘で」
そしてだというのだ。
「勘もいいから。だからね」
「そう。もっと自信を持ってね」
「やっていこうよ」
使い魔達はそれぞれの前足で赤音の背中をぽん、と推した。兎とハムスターなので力は強くない。だがその心は届いた。赤音の心にしっかりと。
第四百八十四話 完
2012・4・15
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