第四百八十三話
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第四百八十三話 爬虫類だから
春奈は自分の部屋で使い魔のイーとリャンにこう言われていた。
「ですから亀は魔法を使わなくてもです」
「色はわかるのですよ」
「じゃあリャンは使い魔でなくても色がわかるの?」
おっとりとした口調でだ。春奈は自分の使い魔達に応える。
「そうなのね」
「はじめから色がわかる生き物はどうやら案外少ないです」
「哺乳類だとなおさらです」
「人間はわかるけれど」
春奈も人間だからだ。このことは言うまでもなかった。だがだというのだ。
「ワンちゃんとか猫ちゃんは」
「はい、普通にしているとわかりません」
「使い魔でないと」
「華奈子ちゃんや美奈子ちゃんの使い魔の子達もなのね」
「そうですね。犬も猫も色はわかりませんから」
「当然狐や猿もですね」
やはり色がわからないのだ。哺乳類は確かに進化論的には進化の進んだ種類の動物であるがそれでもだ。色がわかるとは限らないのだった。
それはだ。亀のリャンを見てわかることだった。
「私は最初から色がわかりますので」
「じゃあ。やっぱり」
「はい、それとはまた別です」
「進化論とはです」
蛙のイーも言うのだった。そこは進化論とは関係ないとだ。
そしてこの話からだ。春奈は言うのだった。
「ううん。色がわかるわからないで偉い偉くないってないのね」
「進化論でもそうですね」
「それだけで優秀かどうかはわかりませんね」
「そうなのね」
春奈はこのことをだ。あらためて認識したのだった。
「私は蛙と亀が好きで貴方達を使い魔にしたの」
「そうだったのですか」
「私達が好きだったからですか」
「うん、そうなの」
まさにそうだったというのだ。春奈は偏見はなかったのだ。
だがそれでもだ。色のことは言うのだった。
「色のわかるわからないって大事よね」
「そうですね。私達もそう思います」
「やはり目は大事です」
「けれどそれだけで価値は決まらないのね」
「そうしたものでなく心ですね」
「心が大事だと思います」
「そうよね」
春奈は二匹のその言葉に頷いたのだった。
「そんなこと言ったら目がいいとか悪いだけで駄目とかなるから」
「そうしたことで決まるものではないです」
「生きものというものは」
「うん、そのことはよく覚えておくわ」
眼鏡の奥のその優しい目をはっきりとしたものにさせてだ。春奈は頷いた。そうしてだ。
自分の使い魔達にだ。微笑んで言った。
「目じゃなくて心を見ていくわ。これからはね」
このことがわかったのだった。春奈にとっては大切な一日となった使い魔達との会話の日だった。
第四百八十三話 完
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