第四百八十話
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第四百八十話 今日子先生と一緒の人
「待ったかしら」
「ううん、全然」
にこりと笑ってだ。その人は今日子先生の言葉に応える。そうしてだ。
その人の方からだ。今日子先生にこう言ってきた。
「それじゃあ行きましょう」
「席はもう用意してあるから」
今日子先生もにこりとしてその人に話す。
「そこに行きましょう」
「その席ってまさか」
「そう。あの席よ」
「あの席は高かったんじゃないの?」
「支配人さんが都合つけてくれたから」
実は今日子先生もお金持ちだ。今田先生もそうだが二人は元々お嬢様なのだ。しかも日本有数の魔女として色々働きとそれに対する謝礼もありお金には困っていないのだ。
それでだ。ロイヤルボックスもなのだ。
「お金の心配はね」
「それはしなくていいのね」
「安心して」
今日子先生はその人に話す。
「お金のことはね」
「わかったわ。それじゃあね」
こう話してだ。先生達はその席に入った。そうしてだ。
そこから舞台を観る。その人は隣に座る今日子先生にこう述べた。
「やっぱりここは違うわね」
「そうよね。普通の席もいいけれど」
「この席は違うわ」
その人はにこにことしている。もう今いる席だけで満足している。
そしてその満足のままだ。今日子先生は話したのだ。
「いいでしょ。それじゃあね」
「ええ。後は開幕を待つだけね」
「今日の舞台は好きかしら」
「モーツァルトね。好きよ」
「そう、それは何よりよ」
今日子先生はその人の話を聞いて満足した。
「それじゃあもうすぐ開幕ね」
「そうね。今日の作品は」
「あれよ」
それはモーツァルトの代表作の一つだった。
その作品の上演を前にしてだ。今日子先生はこうも言った。
「モーツァルトとロッシーニはやっぱり何時聴いてもいいわね」
「本当にそうよね」
「だから今日もね」
「モーツァルトに呼んでくれたのね」
「そうなの。それでこの後は」
舞台の後はだ。どうかというのだ。
「レストランも用意してあるから」
「今日に相応しくね」
「そう。そちらも楽しく食べましょう」
こう話してからだ。二人は楽しく歌劇の開幕を待つのだった。
幕は今あがろうとしていた。先生達にとっては待ちに待った開幕である。
第四百八十話 完
2012・4・9
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