第四百七十九話
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第四百七十九話 ロイヤルボックス
四人が向かったのはオペラハウスの中でもとりわけ豪奢な場所だった。そこは何処かというと。
「うわ、凄い場所だね」
「そうだよな」
タロとライゾウはその場所に入って周りを見て言う。
「これがロイヤルボックス」
「偉い人とかお金持ちの人がここでオペラを観るのかよ」
「はい、ここにおいてです」
「例えば皇室の方が舞台を御覧になられます」
「皇室っていうとやっぱり」
「だよなあ」
タロとライゾウは顔を見合わせた。皇室というとだ。
「天皇陛下だよね」
「若しくは殿下と呼ばれる方々だよな」
「そうした方々が入られる場所なんだ」
「凄いよな」
タロもライゾウも日本に住んでいる。そうした意味で国籍は日本ということになる。日本にいるのならだ。やはり皇室に対する敬意は存在するものだ。
だからこどだ。二匹、あのライゾウでさえも身を引き締めるのだった。
「ここってそんなに凄い場所なんだ」
「おいら達が入っていいのかね」
「あっ、ここは八条家の方かそのお知り合いの方が入られる席で」
「皇室用は他の場所が設けらています」
要するにだ。ロイヤルボックスにもランクがあるというのだ。
「それはここよりさらに立派です」
「また特別な場所です」
「そうなんだ。ここよりもなんだ」
「さらに凄い場所なのかよ」
「流石にそこには入ることは憚れます」
「私達ではとても」
タミーノもフィガロも日本にいるからだ。皇室への敬意が存在している。それ故に恐れ多いとしてだ。皇室用のロイヤルボックスには入らなかったというのだ。
それでだ。彼等はこうしたというのだ。
「あえてここにしました」
「ここからも普通の席は見えますので」
ここで充分だからだというのだ。
「それでは今からです」
「先生を探しましょう」
「うん、じゃあ今からね」
「探そうぜ」
タロとライゾウはこうタミーノとフィガロに応えてだった。
ロイヤルボックスの前に出た。だがここでまたタミーノとフィガロが言ってきた。
「身を乗り出して落ちられないで下さいね」
「そこはご注意を」
「そうだね。一応飛ぶ術も使えるけれど」
「そうなったら危ないからな」
「まずは用心して」
「落ちないようにしようぜ」
そのことは用心する二匹だった。そうしてだ。
彼等はロイヤルボックスから今日子先生を探す。だが彼等は普通の客席だけを考えていた。他のロイヤルボックスのことはだ。全く考えていなかったのだ。
第四百七十九話 完
2012・4・9
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