第四百七十二話
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第四百七十二話 博士の姿の消し方
天本博士は四匹が今日子先生を尾行しているその時にだ。小田切君に無気味なピンク色でゴポゴポと沸騰する三角フラスコの中の液体を見せてだ。こう誇らしげに言った。
「これは影さえも完全に消せる薬じゃ」
「これまでの透明人間になれる薬とはまた違うんですね」
「そうじゃ。これまでは精々消化も見えなくする位だったがじゃ」
透明人間の弱点のそれも解決していたのだ。やはりこの博士は脅威の天才である。伊達に知能指数二十万ではない。超絶的な頭脳を持っているのだ。
そして今回はだ。影さえもだというのだ。
「わしの渾身の開発じゃな」
「凄いですね。影もですか」
「そうじゃ。そしてこの薬を飲めばじゃ」
「影も消える完璧な透明人間になるんですね」
「試しにこのゴロツキに飲ませる」
すぐにだ。博士は縛っている街で捕まえた若いゴロツキを出してきた服装も人相も悪い。如何にもといった外見である。
そのゴロツキの口をだ。機械で無理矢理こじ開けさせてだ。
そのうえで薬を流し込むするとだ。
「あべしっ!!」
ゴロツキは断末魔の奇声をあげてそのまま爆発してだ。煙になった。
後には何も残っていなかった。影さえもそれを見てだ。
小田切君は博士に怪訝な顔を向けてだ。こう問うたのだった。
「あの、まさか影もっていうのは」
「どうじゃ。完全に消えたのう」
「肉体を消し飛ばすって意味だったんですか」
「わしは透明人間になれるとは一言も言っておらんぞ」
博士は嘘は言わない。絶対にだ。
それでだ。今回はだというのだ。
「ほれ、この通りじゃ」
「完全に消し飛ばしたんですか」
「どうじゃ。凄い薬じゃろう」
「相変わらず見事なまでに非道な化学兵器ですね」
化学兵器はそもそも非道なものだ。だが博士の作るものはとりわけだった。
非道に過ぎるのだ。それで小田切君も言うのであった。
「ううん、これでまた一人殺されましたね」
「この実験にあたって三十人が消えたぞ」
「不良とか暴走族とかヤクザ屋さんがですか」
「わしの美学に合わん者は消えていい」
博士が何故そうした連中が嫌いかというとだ。こうした理由だった。
「まあ大したことではないわ」
「三十人って立派なシリアルキラーですよ」
「案ずることはない。わしは殺した人間の数なぞ気にはしておらん」
「じゃあこれまで何人殺してきたんですか?」
「この一年では一万人かのう。人類の歴史だと一億はおるわ」
「それってマラリアで死んだ人の数より多くないですか?」
尚マラリアで死んだ人間の数は戦争で死んだ人間の数より多いと言われている。
「一億も殺したって」
「案ずるな。ゴロツキやヤクザ者、小悪党の類を実験材料や憂さ晴
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