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対決!!天本博士対クラウン
第四百五十六話

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                   第四百五十六話  洗ってあげる
 梨花は妹の利奈と共にお風呂に入った。そしてだ。
 まずは同じ湯舟に向かい合ってつかってだ。こんなことを言った。
「まずはよく温もってね」
「けれどその前に何か」
「身体を洗ったこと?」
「お姉ちゃん凄くしっかり洗ったけれど」
 自分の身体だけでなくだ。利奈の身体もだ。じっくりと洗ったのである。
 利奈はこのことをだ。姉の梨花に話すのだった。
「あんな感じでしっかり洗わないと駄目なの?」
「そうよ。身体の隅々までね」
「足の指と指の間まで洗ったし」
「そこは洗う人少ないみたいね」
「お母さんは洗ってたかな」
「お母さんはそうしてるわ」
 実は母親の影響が大きい梨花だった。彼女は何があっても母親の悪口は言わない。そして尊敬する人は母親なのだ。それで入浴の時もそうしているのだ。
 それでだ。また言う彼女だった。
「だから利奈もお母さんみたいにね」
「足の指と指の間までしっかりなの」
「そう、洗わないと駄目なのよ。それじゃあね」
 このことを教えてからだ。さらにだった。
 妹に微笑んでみせてだ。本題に入ったのだった。
「今から髪の毛を洗いましょう」
「ええ〜〜、けれど私」
「大丈夫。利奈は目をしっかりと瞑っていればいいの」
 それでいいというのだ。
「お姉ちゃんが洗ってあげるから」
「えっ、それは」
「いいから。お姉ちゃんに任せてね」
「何か悪いけれど」
「いいの。私は利奈のお姉ちゃんだから」
 それでいいと答えてだ。そうしてだった。
 二人で湯舟から出てだ。利奈を風呂の椅子に座らせて、そのうえで。
 自分は利奈の後ろにだ。膝立ちになりだ。そこからだ。
 目を閉じた妹の頭にシャワーでお湯をかけてだ。朱アンプーを手に取りだ。
 出して泡にして髪の毛につけてしっかりと洗う。当然頭も洗う。
 そうしてじっくりと洗ってだ。そのうえでシャンプーを落とし。
 それが終わってからだ。後ろから優しい声で告げたのである。
「終わったわよ」
「目を開けていいの?」
「ええ、いいわ」
「それじゃあ」
 こうしてだった。利奈はその目を開けたのだった。
 それからだ。姉に顔を向けて言ったのだった。
「有り難う。何か髪の毛が」
「すっきりしたでしょ」
「頭もね」
 それもだ。すっきりしたというのだ。
「けれど今度は自分でそうしたいから」
「これからは一人で頭洗うのね」
「それでもお風呂はお姉ちゃんと一緒がいいから」
 そう言うところはまだ子供だった。それでもしっかりとしたものも生まれた妹だった。


第四百五十六話   完


                     2012・1・11
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