第四百五十話
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第四百五十話 愛着のある眼鏡
春奈はその眼鏡についてだ。笑顔でイーとリャンに話した。
「この眼鏡、私幼稚園の頃から眼鏡だけれど」
「その頃からですか?」
「同じ眼鏡ですか?」
「あっ、デザインだけなの」
代は経ているというのだ。眼鏡のだ。
だがそれでもだとだ。春奈は自分の使い魔達に話していく。
「代わってはいるわよ」
「ですがずっと縁なしの丸眼鏡ですね」
「それは変わらないんですね」
「ではその理由は」
「一対何なのですか?」
「お兄ちゃんに言われたの」
ここでだ。春奈はだ。
顔を少し赤らめさせた。それから少しだけ俯いてだ。そうしてそのうえでだ。イーとリャンにだ。自分の兄のことを話に出してだ。その話をするのだった。
「最初に眼鏡かけた幼稚園の頃にね」
「その頃にですか」
「お兄様に言われたのですね」
「そう。似合ってるってね」
そう言われたというのだ。ここではにこりとしている。
その笑顔でだ。彼女は話していく。
「それでなの」
「ううむ、そこでお兄様が出て来られますか」
「意外な展開ですが」
「子供の頃からずっとお兄ちゃん好きだから」
兄のことになるととりわけ女の子らしくなる春奈だった。
その女の子らしい顔でだ。彼女は話してだ。
そしてだ。また言ったのである。
「それからずっとなの」
「御主人様がお兄様のことをお好きなのは知ってましたが」
「幼稚園の頃からだったのですか」
「それはまたかなり長いものだったのですか」
「私達もそれは知りませんでした」
「魔女になることもね」
そのことにも話が及ぶのだった。
「それもなの」
「では私達が御主人様に御会いできたのも」
「お兄様からだったのですか」
「お兄ちゃんが。魔女はいいなって言って」
それからだった。魔女のこともだ。
「それで魔女になって法衣をはじめて来た時もお兄ちゃんに褒めてもらったのよ」
「何かあらゆることがお兄様からはじまっていますね」
「御主人様の場合は」
「そうかも知れないわね」
実際にはその通りだがあえてこう言う春奈だった。
そうしてだった。また眼鏡をかけて。二匹に問うたのである。
「似合うかしら」
「はい、とてもです」
「似合っていますよ」
二匹は穏やかな声で主に答えた。確かに春奈の眼鏡姿は最高に似合っていた。
第四百五十話 完
2011・12・21
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