第四百三十四話
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第四百三十四話 芋といえば
華奈子は美奈子にだ。こう言われていた。
「だから華奈子、そこは違うわよ」
「いえ、美奈子こそ違うわよ」
自分達の部屋の中でだ。二人はそれぞれ言い合っていた。
「薩摩芋はやっぱりあれじゃない。サラダよ」
「違うわよ。普通に焼くのがいいのよ」
「石焼き芋?」
「あれが一番美味しいじゃない」
こう主張する華奈子だった。
「美奈子だってこの前美味しそうに食べてたじゃない」
「けれどそれでもよ」
「サラだが一番っていうのね」
「そもそも華奈子だってサラダ食べてたじゃない。薩摩芋のサラダ」
「確かに食べていたわ」
流石に双子だけあって。二人の応対はそのまま繰り返しになっていた。しかも殆ど同じ声と仕草でだ。二人は言い合っていくのだった。
「けれどそれでもよ」
「石焼き芋だっていうのね」
「薩摩芋はシンプルなのがいいんじゃない」
華奈子はこんことを力説する。
「そうじゃないの?」
「いえ、やっぱりサラダよ」
「手間かかるじゃない」
「手間がかかるだけ美味しいものができるんじゃない」
「それを言ったらマクドナルドは今頃完全に潰れてるじゃない」
ファーストフードも美味い。だからこそ言う華奈子だった。
「そうじゃないの?」
「うっ、それは」
「手間かけなくても美味しいものは美味しいの」
華奈子は開き直って言う。
「そんな自然食ばかり言うのもかえっておかしいわよ」
「ああ、それは私もね」
美奈子はその華奈子の言葉には納得した顔で返す。
「自然食にはこだわらないから」
「それはいいのね」
「かえってそれで神経質になるのもね」
どうかというのである。
「だから。そうしたお店もあっていいと思うわ」
「けれどそれでもなんだな」
「ええ、そうよ」
はっきりと言い切る美奈子だた。
「これでも柔軟なつもりだから」
「ああ、柔道も強いしね」
その美奈子にこう返してだ。華奈子は。
「本当に漢よ」
「漢だっているのね」
「そうよ。美奈子がそうで」
そしてひいてはだった。
「私もそうだし」
「ずっと前から鏡とか言われてきたけれどね」
「はいい、それじゃあ」
美奈子が応えてだった。そこからまただ薩摩芋の話を朝までしていくのだった。
第四百三十四話 完
2011・10・26
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