第四百三十二話
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第四百三十二話 共倒れもよし
植物達とならず者国家の人民軍との戦いが行われていた。戦車やミサイルがだ。
次々と破壊されていく。しかしだ。
人民軍もだ。多大な犠牲を払いながら植物達を火炎や塩水で攻撃していく。それによってだ。
植物達はその数を減らしていく。小田切君はその有様を見てまた博士に問う。
「負けそうですよ」
「そうじゃな」
博士はワインのつまみのカマンベールチーズをかじりながら平然と答える。
「このままいけばな」
「それでもいいんですか」
「構わぬ」
それもだというのだ。
「わしは楽しめればいいからな」
「だからなんですか」
「今回はあの国への嫌がらせじゃ」
大量殺戮に無差別的な破壊もだ。博士にとってはその程度だった。博士の本気はそれこそ宇宙を壊しかねない位であるからだ。
「だからよいのじゃ」
「まあ人民軍も減りましたね」
「どんな感じじゃ?」
「そうですね。このままいくと」
「うむ。損害は九割か」
「そこまでいきますね」
実際にそうなるとだ。小田切君はテレビを観ながら答える。
「確実に」
「軍で言うと消滅じゃな」
全滅が三割程だ。それを遥かに超えた損害なのだった。
「よいことじゃ」
「あの国はまた大変なことになりますね」
「ああした連中は好かんからよい」
博士は確かに無法だが少なくともならず者ではない。
「甦ったらまたやってやるわ」
「また農薬ですか」
「また別の方法でやってやるわ」
博士は同じことは続けてはしない。
「さて、それにしてもじゃ」
「首都が壮絶なことになってますね」
廃墟になっていた。完全に。
「一体どれだけ死んだんですかね」
「二百万位ではないかのう。軍の損害も入れて」
「多いですね」
「何、あの国は飢餓で百万は死んでおる」
今現在では有り得ない数字だ。それもこれも独裁者の親子の失政のせいだ。
「そのほんの二倍程度じゃよ」
「だから大したことはないんですか」
「ほんの悪戯じゃよ」
またこう言う博士だった。
「今度もまたしてやるわ」
「作物壊滅したからさらに死ぬんですけれど」
「うむ、大成功じゃな」
どれだけ人が死のうと構わない博士だった。
かくしてそのならず者国家は壊滅的な損害を受けた。博士の農薬で二百万、その後の悪化した飢餓で百万、合わせて三百万が死んでしまったのだった。
第四百三十二話 完
2011・10・16
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