第四百十九話
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第四百十九話 小学生だと
華奈子はどうしても気になりだ。胸のことをだ。
クラウンのメンバーにも尋ねた。するとだ。
春奈がだ。気弱そうな声でこう華奈子に話してきた。
「そういうのは今は」
「今は?」
「わからないことだと思うわ」
こう言うのである。
「もう少ししたらわかることだけれど」
「けれど今じゃないの」
「だって。私達まだ小学生じゃない」
「確かにまだ胸は大きくならないけれど」
「それでわかるものじゃないわ」
これが春奈の言うことだった。
「だからもう少し先よ」
「じゃあもう少ししたらなのね」
「背が伸びてスタイルも変わってきて」
所謂第二次成長期である。それは女の子の方が男の子よりも先にやって来るのだ。言うまでもなく華奈子も春奈も女の子だ。
「これからだから」
「そこでわかるの」
「そう。胸が大きくなるのもね」
「あたしは今すぐ知りたいんだけれど」
華奈子は切実な顔で述べた。
「大きくなるのかどうか」
「どうしても?」
「そう、どうしても」
「そって高校生、それも卒業するまではっきり言えないわよ」
「その間に大きくなるからなのね」
「中学生で小さかった人が高校生で大きくなったってことも多いし」
胸が、である。
「背もそうだしね」
「背もなの」
「そう、身体に関することって本当に急に変わったりするから」
春奈はそのこともよくわかっていた。それでだ。
あらためてだ。華奈子に話すのだった。
「今すぐにあれこれしても仕方ないわよ」
「ううん、何かそれ聞いたら」
華奈子はそうした春奈の話を聞いてだ。こう言った。
「春奈は胸とか大きくなくていいの?」
「それはその」
そう言われるとだった。春奈は。少し困った顔になりだ。
それからだ。こう答えた。
「やっぱり大きい方がいいわ」
「そっち派なのね」
「胸が大きいってそれだけで幸せになれるじゃない」
「幸せに?」
「だって。お兄ちゃんも」
春奈のだ。その兄が言っていたというのだ。
「大きい方が好きみたいだから」
ここでも兄を第一に考えて言う春奈だった。やはり彼女は兄ありきの女の子なのだ。
第四百十九話 完
2011・9・6
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