第四百十七話
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第四百十七話 二人の母は
華奈子はだ。自分達の母を見た。その胸をだ。
見ればだ。その胸はだ。西瓜かロケットの様だ。顔は華奈子と美奈子を合わせた様な感じだ。つまり二人は母親似なのだ。
しかし胸はだ。それはだった。
華奈子もだ。思わずこんなことを言う程だった。
「羨ましいなあ」
「羨ましいって?」
その母がだ。華奈子に対して応えてきた。
「何がなの?」
「胸。お母さんの胸はそんなに大きいのに」
それでもだった。彼女の胸は。
「あたしは大きくならないから」
「何言ってるのよ」
しかしだ。ここでだ。母はだ。
そんな溜息をつく華奈子に対してだ。笑顔で言うのだった。
「これからじゃない」
「これからって?」
「そう。華奈ちゃんはまだ十一でしょ」
「うん、小学五年」
「じゃあこれからよ」
こうだ。自分の娘に笑顔で言うのである。
「これから大きくなるのよ」
「こんなに小さいのに?」
まな板だ。まさにだ。
「それでもお母さんみたいになるの」
「お母さんだってそうなのよ」
お母さんは笑って華奈子にだ。さらに話す。
「最初は小さかったのよ」
「あたしみたいに?」
「そう、華奈ちゃんみたいにね」
娘を愛称で呼びながらだった。尚二人の母は華奈子も美奈子もそれぞれ華奈ちゃん、美奈ちゃんと呼んでいる。そうしているのだ。
その母がだ。華奈子にさらに話す。
「そこから大きくなったのよ」
「じゃあ子供の頃のお母さんって」
「小さかったわよ」
にこりと笑ったうえでの言葉だった。
「当然じゃない」
「何か信じられないけれど」
「誰だってそうなの」
首を傾げる娘にだ。母は。
優しい声で話した。笑顔も優しい。
「だから。安心していいの」
「だといいけれど」
「お母さんも大きいしお母さんのお姉ちゃんも妹も皆大きいし」
そしてさらにだった。
「お祖母ちゃん達も皆大きいから安心していいわ」
「胸が大きい家系なの?」
「ええ、そうよ」
その通りだとだ。母は娘に話した。そしてそれを聞いた華奈子はだ。
少し気が楽になった。未来に希望が持てたからだ。
それでだ。美奈子のところに行ってだ。このことを話そうと思った。そしてだ。美奈子からだ。意外なことを言われたのであった。
第四百十七話 完
2011・8・29
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