第四百五話
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第四百五話 犬と猫も
華奈子と一緒にいてだ、タロとライゾウは話すのだった。
「僕達も結構以上にね」
「身体動かしてるよな」
「そうだよね」
タロはこうライゾウに話していた。
「御主人動き回る人だから」
「もう何かっていうとだからな」
「魔法を使う時も」
その時もなのだった。華奈子、ひいては二匹は。
「動くからね、御主人」
「そうそう、別に動かなくてもいいような状況でもさ」
「右に左にって」
「物凄いから。使い魔のおいら達も」
動かないとならないというのだ。それでだ。
見ればタロの運動神経はだ。かなりのものだ。
犬だというのに木にも軽々と登りさながら忍者の如きだ。しかしである。ライゾウはというと。
タロはライゾウのそのでっぷりとした腹を見て言った。
「また太った?」
「んっ、そうか?」
「ライゾウってひょっとしてあまり動いてないとか?」
「いや、結構動いてるぜおいらも」
自分ではこう言う。少なくともライゾウは自己評価では動いてはいる。これは事実だ。しかしそれはあくまで自己評価のことであり。実際は。
見ればだ。今もだった。
どぺっと寝ている。寝ている姿はさながらなめくじだ。身体の脂肪が多いせいでだ。その身体がどうにも猫よりもそれに見えるのだ。
タロもだ。その彼を見て言う。
「あのさ、本当に猫じゃなくて」
「何に見えるんだよ、猫じゃなかったら」
「なめくじとかさ」
彼もまたこう言った。
「そういうのに見えるんだけれど」
「馬鹿言えよ、おいらはれっきとした猫だぜ」
「けれどさ。どう見ても」
「ったくよ、旦那も言うよな」
ライゾウは寝たまま不機嫌な声でタロに話す。
「こんな美形のおいらを捕まえてなめくじなんてよ。失礼だぜ」
「いや、悪いけれど実際に」
だが、だ。タロもまだ言うのだった。
「そう見えるから」
「なめくじにかい?本当に?」
「うん、見えるよ」42
「そうか?おいらそんなに太ってるか?」
「またダイエットしてみたらどうかな」
タロも真剣にアドバイスする。
「太り過ぎだと問題があるしね」
「そんなに太ってるつもりないけれどな」
「いや、結構だから」
こうライゾウに言うのだった。しかしライゾウ自身は自覚のないままだった。しかしここからだ。ライゾウのダイエットが再びはじまるのだった。
第四百五話 完
2011・7・22
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