第三百九十九話
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第三百九十九話 体育は得意
華奈子の得意教科は何といってもだ。体育である。
とにかく俊敏に動き回りだ。そうしてなのだ。
力も強い。男の子並の力を持っている。その握力もだ。
「鉄棒もできるのね」
「鉄棒はね」
にこりと笑って美奈子に話す。今日の授業は鉄棒なのだ。
「あれよ。握力なのよ」
「どれだけ強く長く握られているかよね」
「そうよ。だから握力なの」
また言う華奈子だった。
「それとね。後は」
「後は?」
「度胸と意地よ。懸垂だと絶対に十回してやるとか」
そうした話だというのだ。
「そういう感じね」
「意地なの」
「度胸は。もう思い切り回ること」
こういった意味での度胸というのである。
「前にも後ろにもね」
「あと大車輪も?」
「ああ、大車輪はあたしも無理よ」
笑ってだ。それはだというのだ。
「あれできたらもう神懸りじゃない」
「夢というか憧れかしら。あれをできるようになるって」
美奈子にとってはまさにそうだった。華奈子に比べて運動神経の落ちる彼女にとっては大車輪の様な大技はだ。まさにそういったものなのだ。
それでこう言うのだ。しかし華奈子は笑って言うのだった。
「だからそれもね」
「大車輪も?」
「度胸よ」
そうだというのだ。
「もう思いきりよく回るっていうね」
「それでできるものかしら」
「できるわよ。できるかしらじゃなくて絶対にやるって」
そうだ。前向きになってだというのだ。
「そう思って回るのが大事なのよ」
「あれ、じゃあ華奈子も何時かは?」
「大車輪。やってみせるわ」
体操服の半ズボン姿で大きく後ろ回りをしてから言う華奈子だった。
「何時かね」
「何か体操選手みたいね」
「そうね。体操選手みたいに回るわ」
「度胸と意地で?」
「そう、鉄棒だからね」
そうした意味で後ろ回りも大車輪も同じだというのである。
それを聞いて美奈子はだ。自分が握っている鉄棒を見てだった。
「私も意地を出して」
「やってみるのね」
「そうしてみるわ」
こう言ってだ。美奈子も鉄棒をするのだった。
第三百九十九話 完
2011・6・28
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