第三百九十五話
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第三百九十五話 人間爆弾の恐怖
博士の悪行は続く。
ヤクザ者に暴走族を片っ端から拉致し改造手術を施したうえで爆発させて惨殺させていく。この悪魔そのものの所業に対してだ。
日本国内だけでなく世界からだ。非難の声があがった。
「幾ら無法者相手でもやっていいことと悪いことがある」
「あれは非道の極みではないか」
「人権を何だと思っているのだ」
「あの様なことが許されるのか」
世界最悪のテロリストとも認識されている博士に対して次から次に抗議の声があがる。そして研究所の前では人権団体がデモを行ってきた。
「これ以上の非人道的行いを許すな!」
「人命を粗末にするな!」
「人間は爆弾じゃない!」
「絶対に許さないぞ!」
博士はそうした言葉は全く聞こえなくなる体質だ。そうしてこう言うのであった。
「彼等は何を怒っておるのじゃ」
「ですから。博士の人間爆弾についてですよ」
「何じゃ?悪いのか?」
こんなことを言う始末である。
「気に入らん奴を始末して何が悪いのじゃ」
「それはいつもしているというんですね」
「そうじゃ。今回は趣向を変えただけじゃ」
博士にとってはだ。本当にそれだけのことだ。
「わしが気に入らん奴を始末するなぞいつものことではないか」
「いつもになってること自体が問題では?」
「それもわからんがな」
そもそもここからして大いに問題があるのだった。
「とにかくじゃ」
「人間爆弾を止められますか?」
「飽きればな」
そうしなければ止めないというのだ。博士はとりあえずは人間爆弾を楽しんでいる。その断末魔も絶望も爆発もだ。楽しんでいるのだ。
そしてだ。博士はこんなことも言うのだった。
「では今日もじゃ」
「爆発させるんですね」
「あのならず者国家の出先機関の中に移動させて爆発させる」
まさにだ。テロである。
「さて、十人程送るか」
「今日の犠牲者は住人ですか」
「とりあえずそこから増やすがのう」
十人で終わらないというのだ。
「まあ気が向くままじゃ」
「爆発させるんですね」
「うむ。爆弾の他にもじゃ」
また碌でもないことを考えるのだった。
「花火なぞもよいのう」
「空中で爆発させて殺すんですね」
「それもよいと思うが。どうじゃ?」
「また人権団体からクレームが来ますよ」
「そんなものは聞こえんからいいのじゃ」
こうあっさりと言ってしまってだ。博士は爆弾だけでなく花火の製造にも取り掛かるのだった。あまりにも人権を無視した花火のだ。
第三百九十五話 完
2011・6・14
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