第三百八十三話
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第三百八十三話 博士の入浴
博士はだ。風呂も好きだった。
毎日入る。そしてだった。
「やはり風呂はあれじゃな」
「サウナですか」
「うむ、あれはいいものじゃ」
こう小田切君にも話すのだ。研究所の風呂にはサウナもあれば水風呂もある。そして泡風呂もあるのだ。スーパー銭湯並の設備なのだ。
「汗をかいてこそじゃな」
「サウナっていいですよね」
「酒も抜けるじゃろ」
随分と危ない話になる。
「サウナに入るとのう」
「あの、お酒飲んでサウナは」
小田切君はそのことにはすぐに突っ込みを入れた。
「危ないですよ」
「危ないかのう」
「死にますから」
正論を言うのだった。
「心臓とか血管に悪くて」
「ふむ。軟弱じゃのう」
「っていうか博士いつもそれやってるんですか?」
「わしはいくら飲んでも酔わん」
話のポイントが狂っていた。
「だから酔いを醒ます必要はない」
「いえ、お酒飲んでサウナは」
「それは悪いのか?」
こうしたことでも常識が通用しない博士だった。
「はじめて聞いたぞ」
「あの、本当に死にますけれど」
「わしは不死身じゃからな」
「そういう問題じゃなくてですね」
「では本当に死ぬかどうか実験じゃな」
話が飛躍した。酒を飲んでサウナに入ると本当に死んでしまうかどうかをだ。実際に実験で確かめてみようというのである。好奇心は何時でも旺盛な博士である。
「それをしてみるか」
「実験しなくてもわかるんじゃないんですか?」
「ついでじゃ。それで何人か暴走族でも駆除する」
結局そこから殺人に至るのである。
「よいぞよいぞ」
「いえ、全然よくないですけれど」
「わしはよいのじゃよ」
博士自身はだというのだ。
「だからいいのじゃよ」
「そういう理屈ですか」
「うむ、何でも実験して確かめることじゃ」
この部分だけは科学者の言葉だった。しかしであった。
早速街から不良やヤクザ者やチーマーや暴走族が強制連行された。そのうえでだった。
「さて。それではじゃ」
「今からですね」
再び生体実験が行われるのだった。果たして酒を飲んでサウナに入ると本当に死ぬかどうか。その実験がはじまるのだった。
第三百八十三話 完
2011・5・5
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