第三百六十四話
[8]前話 [2]次話
第三百六十四話 液体に
店員さんに粉ミルクを出されてだ。小田切君はこう返した。
「粉だとですね」
「駄目ですか」
「ううん、どっちも味には五月蝿くて」
特にライゾウがであった。ルーツがイギリスにあるスコティッシュフォールドなのにだ。味にはかなり五月蝿い困った猫なのである。
「粉だと」
「飲まないんですね」
「新鮮な食べ物や飲み物が好きなんですよ」
実際にその通りなのである。
「本当にね」
「それじゃあ生の方がいいですね」
「はい、生の飲み物で」
「わかりました」
実際に頷いてくれた店員さんだった。
「それじゃあ液体のミルクを出させてもらいますね」
「御願いします。じゃあそれで」
これで話が終わる筈だった。本来ならばだ。
ここでだ。店員さんがこんなことを言うのであった。
「実はこうしたミルク人間も飲めないってわけじゃないんですよ」
「そうなんですか」
「ドッグフードやキャットフードもそうですし」
「ああ、そういえばそうらしいですね」
「はい、まあ普通は食べませんけれど」
それでもだ。中にはだというのだ。
「外国の方が人間の食べ物だと思われることがあったりします」
「そんなこともあるんですか」
「はい、キャットフードは殆どの国で本当に猫の餌にしかならない魚が多いですが」
「実際にそうなんですね」
「はい、それでも間違えて食べる人はいます」
そうだというのである。
「まあ食べられないこともないので」
「いざという時はですね」
「猫や犬は猫まんまにしておかずにということで」
できるというのだ。
「どうですか?それは」
「遠慮します」
真顔で答える小田切君だった。
「やっぱり。犬や猫と御飯の取り合いはちょっと」
「だからですね」
「はい、止めます」
また言う小田切君だった。
「彼等にです。慎んで譲ります」
「そうした方がいいですね。やはり」
「人間同士でも食べ物の取り合いはよくないですし」
「ははは、そうですね」
「そうですよね、やっぱり」
そんな話をしてだった。
小田切君は自分の昼食とライゾウ、そしてタロのミルクも買ったのであった。そこでそれぞれの食べ物についても考えたりもしたのであった。
第三百六十四話 完
2011・2・23
[8]前話 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ