第三百六十二話
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第三百六十二話 食べてみると
作ったその乳製品を冷蔵庫で冷やしてだ。食べるのは次の日だった。
学校から帰るとすぐに冷蔵庫からその三つを取り出してだ。二人で食べてみた。
するとだ。その味は。
「あっ、甘いね」
「そうね」
二人はその三つを食べてみてそれぞれ言った。
「何かその甘さって」
「自然な甘さよね」
「うん、お砂糖も入っていない」
「そんな甘さね」
こう話してだった。その素朴な甘さを楽しんだ。そうしてだった。
食べ終えてだ。その感想は。
「御砂糖の入っていない甘さっていうのも」
「いい感じね」
「あとね。気になるのはね」
華奈子は食べながら話す。
「似てない?ミルクキャンデーに」
「そういえばそうね」
美奈子も華奈子のその言葉に頷いた。
「味はもっと素朴だけれど」
「そうよね。感じとか似てるわよね」
「ええ。昔の人ってこうしたのを食べてたのね」
「こんなに手間隙かけて作って食べてたんだ」
華奈子は腕を組んでだ。こんなことを言った。
「それに昔って牛乳とかって」
「飲んでる人、殆どいなかったから」
「ご馳走だったのね」
「そうなるわね」
こう話していってだ。またあることがわかったのだった。
「ううん、今じゃ時間かけたら作られるから」
「私達幸せよね」
「少なくとも牛乳買えば素材があるからね」
「それを考えればね」
「幸せになったわね」
「本当にね」
そのことがわかったのであった。時代が変わればだ。
あらためてその乳製品を食べてみる。するとその味は。
「さっきよりも何か」
「深い味に感じるわよね」
「ちょっと。見方が変わっただけでね」
「そうなるわね」
そうなのだった。先程までとだ。味が変わっているように、さらに深いものに感じられたのだ。その深いものが何かというとであった。
「歴史かしら」
「それなの?」
「ええ、そうじゃないかしら」
美奈子が華奈子に言う。
「だから。さっきより深い味に感じるのかしら」
「歴史を知ったからっていうのね」
美奈子の言葉に華奈子は考える顔になった。今二人はそうしてだ。その乳製品を食べていたのだ。
第三百六十二話 完
2011・2・14
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