第三百五十一話
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第三百五十一話 美奈子のスポーツ
美奈子の苦手なもの。それは。
スポーツである。それはどれもだった。
「相変わらずなのね」
「ええ」
体育の授業の後でだ。華奈子に元気のない顔で返す。二人は体操服姿である。見れば半ズボンは華奈子の方が似合っているようである。
「どうしてもね」
「よく動けないのね」
「しょっちゅう転んだし」
「縄跳びで転ぶの?」
「だって。足が絡まって」
縄跳びの縄にだというのだ。それにだった。
「それでね」
「こけたのね」
「何度も」
「縄跳びの縄に絡まるって」
華奈子は話を聞いてだ。首を傾げさせながら言うのだった。
「あたしそんなことは一度もないけれど」
「華奈子は運動神経いいじゃない」
すぐに突っ込みを入れる美奈子だった。
「私は。全然だから」
「けれどさ。それはね」
「それは?」
「やってないからだと思うわ」
それでだというのである。
「普段からね」
「それでだっていうの?」
「あたしだってあれじゃない。お勉強ね」
「よくなってきたっていうのね」
「これまでは1とか2ばかりだったけれど」
お世辞にも成績はいいとは言えなかったのだ。だが今の華奈子はというのである。
「それでもね。今はあれじゃない」
「1も2もなくなったわね」
「国語とか算数とかは酷かったけれど」
もっと言えば理科と社会もである。とにかく勉強関係は全く駄目だったのが華奈子だったのである。それが特徴でもあったのだ。
「今はあれじゃない」
「全部3になったわね」
「そういうこと。努力すればね」
「よくなるっていうのね」
「そうよ。だから美奈子もよ」
「だといいけれど」
困った顔で返す美奈子だった。
「華奈子みたいに。スポーツもできたら」
「それならね」
華奈子はまた美奈子に言ってきた。
「スポーツしよう。二人でね」
「二人でなの」
「ええ、じゃあね」
こうしてであった。美奈子は華奈子と共にスポーツを頑張ることになった。話が決まるとすぐであった。
第三百五十一話 完
2011・1・12
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