第三百三十八話
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第三百三十八話 キーボード
春奈はだ。一先手を洗いそれで泡を落とした。
そしてすぐにだった。自分が演奏で使っているキーボードを出してきたのだった。そのうえでイーとリャンに対して話すのであった。
「それじゃあ演奏でね」
「お水とスポンジ達を操ってですか」
「そうして洗われるというのですね」
「ええ、そうしてみるわ」
こう答える春奈だった。
「じゃあ早速」
「ここまでは思いつきませんでしたよ」
「本当に」
使い魔達も春奈に対して唸りながら述べた。
「どうやら御主人様は」
「閃きも身に着けられましたね」
「そうなの?」
しかしそう言われてだ。本人はかえって驚いてしまったのだった。
「私、閃いたのかしら」
「はい、だからです」
「そうしたことが考え付いたのです」
これが使い魔達の言葉である。
「閃きは突如として舞い降りるもの」
「そしてそれを身に着けられれば」
「ええと、確か」
春奈はキーボードを動かしながら言う。音楽と共に水とスポンジ達が動きだ。食器達が次から次にと奇麗に洗われていいている。その中での言葉だった。
「天才とは」
「九十九パーセントの努力と」
「一パーセントの閃きですね」
エジソンの言葉だ。使い魔達もこの偉大な発明家のことは知っているのだった。
「御主人様はその閃きを手に入れられました」
「つまりは」
「けれど。閃きは誰にでもあるわ」
だが、だった。ここでこう言った春奈だった。
「一パーセントはね。だから私は別に」
「天才ではないと」
「そう仰いますか」
「私は私だから」
にこりと笑って彼等に話した。
「だからね」
「左様ですか。それでは」
「これもですね」
「ええ、別にどうとも思わないわ」
そうだと。使い魔達に述べる。
「それよりも」
「それよりも」
「といいますと」
「もうちょっと勉強しないとね」
彼女が気にかけているのはこのことだった。勉強、即ち努力のことだった。
「駄目よね」
「そうですね。それではです」
「私達も協力させて下さい」
「ええ、御願いね」
最後は優しい笑顔で応える春奈だった。彼女はまず努力ありきなのであった。
第三百三十八話 完
2010・11・23
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