第三百三十七話
[8]前話 [2]次話
第三百三十七話 水を使ってみて
春奈はこの日は家で家事を手伝っていた。食器を洗っているのだ。
そこにはイーとリャンもいる。彼等も主の食器洗いを手伝っている。その時に彼等が言ってきたのだ。
「御主人様」
「宜しいでしょうか」
「何?」
春奈もおっとりとした調子で彼等に応えた。
「何かあったの?」
「はい、ここでなんですけれど」
「お水使ってますよね」
「ええ」
まずは彼等の言葉に頷いた。
「そうだけれど」
「ついでですから」
「魔法の勉強もしませんか?」
「魔法の?」
「そうでしょ。丁度いい時ですし」
「どうでしょうか」
「そうね」
イーとリャンのその申し出にだ。春奈も納得した顔になった。そうしてそのうえで、であった。
早速水を動かしてみた。それからだった。
「まずはこうしてね」
「はい、スポンジも幾つか出して」
「それは魔法で操って」
「お水もスポンジも動かして何人かいるみたいに洗っていけばいいわよね」
「そうです。それなら魔法の勉強になりますから」
「何時でも勉強はできますよね」
こう言う辺り彼等もやはり春奈の使い魔であった。とにかく勉強熱心な春奈である。
そしてだ。その春奈がこうも言うのであった。
「ただ」
「ただ?」
「何かありますか?」
「これだけじゃ物足りないような」
首を傾げさせながらの言葉だった。
「そう思うけれど」
「そうでしょうか」
「充分ではないでしょうか」
「ううん、やっぱり何か足りないわね」
まだ言う彼女だった。
「だからここはね」
「どうされるのですか」
「それで」
「音楽かしら」
また首を傾げさせる。
「ここは」
「音楽といいますと」
「つまりは」
「あれですか」
「どうかしら。あれ」
今度はこう言う春奈だった。
「考えてみたけれど」
「ううむ、どうでしょうか」
「それは考えつきませんでしたので
イーとリャンはそれぞれ難しい顔になって述べる。春奈が言う音楽とは何なのか、使い魔達はわかったうえで戸惑うのであった。
第三百三十七話 完
2010・11・23
[8]前話 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ