第三百三十三話
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第三百三十三話 フルートの力
美奈子はフルートを吹き続けている。そこでだ。
ふとした感じでタミーノとフィガロに話すのだった。
「そういえばね」
「はい」
「何かありますか」
「私はこうしてフルート吹いてるじゃない」
そのこと自体を言う美奈子だった。
「ただ。私だけじゃないからね」
「華奈子様ですね」
「あの方のサックスもありますね」
「そう、それね」
それだった。華奈子のそのサックスである。
「そのサックスだけれどね」
「フルートとの協和ですか」
「それを考えるべきなのですね」
「そう、それだけれど」
まさにそれだった。美奈子はフルートを吹きながらそのうえで華奈子のサックスのことを考えていた。それで彼女は言うのであった。
「私の今の吹き方はどうかしら」
「そうですね。確かに素晴しいです」
「しかしです」
ここでも二匹はしっかりと指摘する。相手が主であってもだ。指摘するところはしっかりと指摘するのだった。それが彼等であった。
「それでも華奈子様のサックスとの協和となりますと」
「中々難しいかと」
「それはできていないのね」
美奈子はこのことを理解して真剣な顔になった。
「そうなのね」
「はい、それも考えていきましょう」
「そして吹かれるべきです」
「わかったわ。それじゃあね」
こうしてだった。美奈子は実際に吹き方を変えてみた。頭の中に華奈子のサックスを置いてだ。そうして吹いてみた。するとだった。
二匹は今のフルートを聴いてから言った。
「いい感じになりました」
「もう少し練習されるとです」
「よくなるわね」
「はい、とにかくフルートだけではないので」
「サックスもありますから」
「一人じゃない」
美奈子はここでも真剣な顔だった。
「そういうことね」
「もっと言えば他の方々の楽器もありますから」
「華奈子様だけではないです」
「ええ、わかってきたわ」
こう言ってであった。さらに吹き続けるのだった。
「じゃあ今日は晩御飯まで練習ね」
「わかりました」
「御供します」
二匹もその彼女に応える。美奈子は一途に努力を続けるのだった。
第三百三十三話 完
2010・11・7
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