第三百三十一話
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第三百三十一話 今は放置
博士がまたしても暴れている。しかし先生達はだ。
今回は動かないのだった。落ち着いてお茶を飲んでいる。そしてそれぞれ言うのであった。
「今回は何もしなくていいのね」
「ええ、他の人がやることになったの」
今田先生が今日子先生に話す。
「だから私達はね」
「こうして紅茶を楽しんでいればいいのね」
「そうなの」
上等のドイツの陶器に入れたイギリスの紅茶を飲みながらの言葉だ。
「そういうことなの」
「それで誰がやることになったの?」
「太閤様らしいわ」
超時空天下人ヒデヨシのことだ。時空を超えて戦い続ける偉大な英傑である。一応戦国時代に生まれたがそこに留まらないのである。
「あの方がね」
「あら、太閤様がなの」
「だから安心していいわ」
笑顔で言う今田先生だった。
「今度はね」
「そうね。それじゃあ」
「それで今日子ちゃん」
今田先生は従姉妹に問うてきた。
「このイギリスの紅茶だけれど」
「私は日本の方がいいわね」
「やっぱりそう思うの?」
「陶器も。やっぱり日本のがいいわね」
「そうね。日本の陶器で日本の紅茶を飲むのがね」
「一番いいわね」
「確かにね。これも悪くないけれどね」
それでもだというのである。
「日本のものってね。普通にいいのよね」
「イギリスやドイツよりも。私達にはね」
「合うわね」
「日本人だから」
それが理由だった。
「それでね」
「そうね。日本はね」
「日本人に一番合うわよね」
「お菓子も」
何処からかお茶菓子が出て来た。チョコレートクッキーである。
それはフランスのものだった。しかしだった。今日子先生はそれを食べてまた言うのだった。
「美味しいけれどね」
「日本のが一番よね」
「本当にね」
「どうしてもね」
こうした話をしながらだった。二人でお茶を楽しむ。そして。
「太閤様って幾つだったかしら」
「確か六十二歳のままよ」
そう話してだった。先生達は極めてのどかな一日を過ごしていた。今は博士の引き起こす騒動は忘れていた。気にすることもなかった。
第三百三十一話 完
2010・11・5
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