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対決!!天本博士対クラウン
第三百三十話

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                第三百三十話  焼き尽くす
 博士が研究室に篭って一時間だった。
 博士が出て来て言うのだった。
「できたぞ」
「えっ、もうですか」
「モーツァルトも作曲には時間をかけなかったぞ」
 話はそこに至る。その音楽の天才にだ。
「わしも同じじゃ。ましてわしの頭脳はじゃ」
「知能指数二十万ですよね」
「そのわしにかかれば一時間も長くかかった位じゃ」
「プラモデル作る感じですね」
「あんなものだと一秒じゃな」
「どうやってそれだけで作れるんですか」
 小田切君が突っ込むのはそこだった。
「一体全体」
「わしは天才じゃぞ。そんなことは容易い」
「まあだったらいいですけれど」
「さて、それでじゃ」
 博士の言葉があらたまった。
「それでできたのはじゃ」
「ええ、どんなのですか?」
「これじゃ」
 研究室から何かが出て来た。それは機械のモヒカンだった。人間の姿をしているがあらゆる部分が銀色の機械でできている。そうしたモヒカンだった。
 しかもその手には火炎放射器がある。そのうえで言うのだった。
「汚物は消毒だーーーーーーーーっ!!」
「あの、博士」
 小田切君はそのモヒカンを見ながら博士に話す。
「これって」
「よくできてるじゃろ」
「そのまんまなんですね」
「今回は忠実に再現してみた」
 博士は小田切君の問いに誇らしげに答える。
「凄いじゃろ」
「凄いですけれどやっぱりこれで」
「うむ、街の掃除をする」
 今度も平然として言う。
「何もかもを燃やし尽くすのじゃ」
「人も建物もですね」
「この火炎放射器からはじゃ」
 どうなるかというのである。
「一兆度の炎が出るのじゃ」
「何処かの怪獣みたいですね」
「ついでに言えば柳田とか理科とかいう奴の理屈はわしには通用せん」
「それはよくわかります」
「さて、その炎でじゃ」
 その一兆度の炎でだというのだ。
「気に入らん連中も建物も焼き尽くすぞ」
「そういう意味での掃除なんですね」
「掃除とはそういうものじゃ」
 博士の中ではそうであるのだった。
 かくしてそのモヒカンがよりによって大量生産されてであった。ヤクザも不良もチーマも暴走族もその事務所やバイクもであった。ことごとく焼き尽くされることになった。


第三百三十話   完


                 2010・10・28
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