第三百二十四話
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第三百二十四話 やられた博士は
「博士」
「どうしたんじゃ?」
「生首も身体も全部止まっちゃいました」
小田切君がモニターを見ながら安楽椅子でくつろいでいる博士に話した。
「あの先生達の星の魔法で」
「ああ、ディスペルの魔法じゃな」
「何ですか、それ」
「ああした命がなくとも動けるものを元の死体に戻す魔法じゃ」
そうした魔法だというのである。
「あの先生達はそれを使ったのじゃな」
「そうだったんですか」
「それも日本全土に行き渡る魔法をな」
「それって凄いんですけれど」
小田切君は先生達の魔法の凄さに唖然となった。
「日本全土にって」
「そうか?わしでもできるぞ」
平然と言う博士であった。
「何なら日本全土の墓場から屍をのう」
「今殆ど火葬でもですか?」
「僅かじゃがまだ土葬のところもあるぞ」
博士はこう小田切君に返す。
「田舎の方にじゃがな」
「そうだったんですか」
「それでやってみるがどうじゃ?大騒ぎになるぞ」
「それは止めて下さい。洒落になりませんから」
「洒落にならんのがいいのじゃよ」
こう言うところがやはり博士であった。とにかく世間が大騒ぎになるようなことが好きで好きで仕方ないのである。実に困ったことに。
「そうではないのか?」
「全然です。とにかくですね」
「うむ。この話はこれで終わりじゃな」
「あれっ、諦めるんですか」
小田切君にとっては予想外の展開だった。いつもはここでさらにとんでもないことを考え実行に移すのが博士の常であるからだ。しかし今回は違っていた。
「これで」
「また新しいことを考えついたからのう」
だからであった。
「さて、それではじゃ」
「今度はそれなんですね」
「やってみるぞ。まあ楽しみにしておくことじゃ」
博士は笑いながら小田切君に話してきた。
「今度は何をするのかをな」
「また無茶苦茶をやるんですね」
「天才には常識なぞ何の意味もないことじゃ」
残念だが文字が違っていた。小田切君は博士の話を聞いてすぐに思った。
「さて、それではまずは紅茶を飲むか」
「はい、ケーキもありますよ」
「ロイヤルミルクティーにしようぞ」
こう言ってまずは優雅にその紅茶と苺のケーキを楽しむ博士であった。博士もまずは一時の休息の時を迎えるのだった。次に騒ぎを起こす前に。
第三百二十四話 完
2010・10・6
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