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対決!!天本博士対クラウン
第三十二話

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               第三十二話  主のいない研究所
 見事宇宙に隔離された人類史上初の罪人となった博士であったが小田切君達には何のお咎めもなかった。小田切君もこれにはまずは安心していた。
「とりあえずよかったね」
「うん」
 彼は自分のアパートと研究所を行き来する生活をしていた。主がいなくても掃除等はちゃんとしていたのである。給料は自動的に振り込まれているから生活には困ってはいない。むしろトラブルクリエイターがいなくなって平穏な日々が来た程である。
 そこでタロ弟、ライゾウ兄と一緒にいた。一人と二匹で穏やかな日常を過ごしていた。彼はその中でタロ弟と話をしていたのだ。当然ライゾウ兄も一緒にいる。
「しかし。裁判中に宇宙に抑留なんて政府も滅茶苦茶やるよな」
「まあ仕方ないね」
 小田切君はそのライゾウ兄に応える。
「幾ら何でもあんなことしたら。本当にウルトラ○ンの映画版になりそうだし」
「そうだよね」
「何するかと思ったらあんなことしたからなあ」
 二匹もその言葉に同意して頷く。どうやっても弁護の余地がないものだった。
「政府としてはそのまま宇宙に隔離したいみたいだね」
「日本政府だけかね」
「国連かも」
「まあどっちでもいいよ」
 とりあえずそれは置いた。
「とにかく。暫くはいないからね」
「またとんでもないことやって帰って来るんだろうけれどな」
「それまではね」 
 二匹はまた言う絶対に抜け出てくると確信していた。そうさせるものがあの博士にはあるからこれも疑う余地がなかった。何処までも変な意味で信頼のある博士であった。
「暇になっていいか」
「そうだね」
「それでさ、小田切君」
 タロ弟がここで言う。
「暫く遊ばないか?」
「遊ぶ?」
「映画とか観たりさ」
「お酒飲んだり」
 タロ弟も言ってきた。
「そうして骨休めするといいんじゃないかな」
「そうだな。あの博士が戻って来るまでは」
「そうだね。それじゃあ」
 小田切君もそれに頷く。そうしてまた言う。
「お酒たっぷり買って」
「今日は飲み明かそうぜ」
「焼肉でね」
「うん、そうだね」
 二匹の言葉に笑顔で頷く。
「じゃあビールとかチューハイとか一杯買って」
「肉に」
「冷麺に」
 話はどんどん進んでいく。彼等も鬼のいぬ間にというやつだった。
「とにかく楽しくおかしく」
「過ごそうか」
「よし!」
 彼等は彼等で楽しい日々に入る。どうせすぐに消え去る平和な日常だからこそ。思いきり楽しむつもりだった。刹那的だがそれでいてかけがえのない楽しみであった。


第三十二話   完


                  2007・5・2

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