第三百十八話
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第三百十八話 空での演奏
「ええと?」
「どうしよう」
赤音が困った顔になっていた。春奈もだ。
「ドラムなんてお空じゃ使えないんじゃ」
「キーボードも」
「そうよね」
「言われてみればね」
ギターの梨花とベースも美樹もこのことに気付いて言う。
「ドラムをお空に浮かせるしか」
「それしかないけれど」
「けれどそんなの。私達の魔法じゃ」
「できないし」
「ううん、ここは」
「浮遊の魔法を使う?」
華奈子と美奈子が考える顔で述べた。
「やっぱりここは」
「そうする?」
「けれどドラムもキーボードも重いわよ」
「一人の魔法じゃちょっと無理よ」
双子の言葉に梨花と美樹が言う。
「だから。それは」
「難しいけれど」
「ううん、ちょっと無理みたい」
「こっちも」
赤音と春奈が実際にそれぞれ浮遊の魔法を使う。しかしであった。ドラムもキーボードも少しずつ下に落ちようとしていたのである。
それを見てだ。ふと美奈子が言った。
「これは全員の魔法使うしかないかしら」
「あっ、そうすればいいんじゃないの?」
華奈子が双子の姉妹のその言葉に頷いた。
「それだったら安全に浮かぶじゃない」
「皆の力を合わせて」
「そういうことなの」
「考えてみればそれがあたし達じゃない」
華奈子は笑顔で梨花と美樹にも話した。
「だからそうしよう」
「うん、じゃあ」
「それで御願いできるかしら」
赤音と春奈は華奈子の提案にすぐに頷いた。これで決まりだった。
六人でそれぞれ浮遊の魔法を使うとだ。それでだった。
ドラムとキーボードが宙に浮かんでそれで演奏できるようになった。
「じゃあね」
「はじめましょう」
二人のヴォーカルがそれぞれ言う。そしてだった。
六人で演奏をはじめた。二人も歌いはじめる。
「サックスもやるからね、美奈子」
「こっちもフルートを吹くわ、華奈子」
双子は箒の上でウィンクし合ってだった。
そしてだ。先生達もだ。
「じゃあ」
「ええ」
呼吸を合わせて。そうして魔法を使いはじめるのだった。
第三百十八話 完
2010・9・15
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