第三百十六話
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第三百十六話 博士のジョーク
「そもそもじゃ」
「はい、今度は何ですか?」
アインシュタインのヘブライ語の本を読みながらだ。博士は小田切君に話していく。
そして小田切君もだ。博士のその話を聞いている。いつも通りである。
「それで」
「どの者もわしのジョークを理解せん」
「ですから博士のそれはジョークじゃありませんから」
「では何だというのじゃ」
「テロです」
一言であった。
「それ以外の何でもありません」
「また随分なことを言うのう」
「原発を怪獣に襲わせるのは最悪のテロですよ」
「そうなのか」
「一体どれだけの損害が出ると思ってるんですか」
小田切君は口を尖らせて博士に言う。
「そんなことは・・・・・・考えたことありませんね」
「悪いことか?」
「いえ、博士ですから」
博士にそうしたことを悪いと考える機能は最初からインプットされていない。破壊が趣味だからそれはいいことなのである。それが博士の主張である。
「そういうことですよね」
「折角原発と中にある核弾頭も破壊できたのにのう」
「ああ、それ公然の秘密ですから」
小田切君はその核弾頭について突っ込みを入れた。
「国際社会の」
「しかし誰も知っておるじゃろ。イスラエルが核兵器を持っておることは」
「けれど持ってないことになってますから」
小田切君は建前を言う。
「一応は」
「わしはそういうことはあまり好みではないのじゃがな。わしも核兵器は持っておるぞ」
「それ使いますよね」
「持っているのは何故か。使う為にあるのじゃ」
実に博士らしい返答であった。
「違うか?それで」
「そういう考えなんですね」
「左様、じゃから使った」
それでだというのである。
「この前のう」
「また隣の半島の北の方にですか」
「別によいじゃろ」
核兵器を使っても平然としている博士であった。
「あそこなら」
「というかあの国が本当に嫌いなんですね」
「醜いからじゃ」
だからだというのである。
「特に国家元首がじゃ」
「あの将軍様ですか」
「だからやってやるのじゃよ。怪獣を暴れさせることも核実験もじゃ」
「それが理由ですか」
「嫌いな相手には容赦せん。それがわしじゃ」
あくまでこうした考えの博士であった。そこには常識も理屈も存在しない。
第三百十六話 完
2010・9・8
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