第三百十三話
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第三百十三話 出陣
「じゃあね、今日子ちゃん」
「うん、香ちゃん」
二人の先生が笑顔で頷き合い。そうしてだった。
箒にそれぞれ乗る。そして空に舞う。
空の上からだ。まだ庭にいる六人にも告げた。
「はい、皆さん」
「では今から行きましょう」
「何か凄く気楽な感じしない?」
「するわ」
美奈子は少し心配そうな顔で華奈子の言葉に答えた。
「相手が博士だけれど」
「しかも今回はかなり気持ち悪いわよね」
「ええ」
何しろ空を飛ぶ生首と首なしの身体がそれぞれ団体で動き回っているのだ。日本中が大騒ぎになるのも当然である。
「それでもこんなにお気楽で」
「いいのかしら」
「けれどね」
ここで華奈子はふと言うのであった。
「先生達っていつもそうよね」
「そういえばそうね」
今回は珍しく美奈子が後で頷く。実は勘ということについてはどちらかというと華奈子の方が鋭いのだ。
「緊張するってことないわよね」
「それを考えれば特に不安に思うことはないのかしら」
「そうじゃないかしら」
美奈子もそうではないかと言うのだった。
「確かに不安だけれど」
「そうよね、それはどうしてもね」
しかしそれでもだった。ここでまた上から先生達の声がするのだった。
「はい、行きましょう」
「いざ戦いの場へ」
「行こう」
「そうね」
二人はここで頷き合った。他の四人もである。
「ここであれこれ行っていてもね」
「何にもならないわよね」
「それだったらまずは」
「動こう」
考えるよりまずは、であった。そうしてであった。
六人も箒に乗った。当然使い魔達も一緒である。それぞれの法衣や帽子の中、箒に捕まったりして行く。
そうして六人の箒も舞い上がった。今まさにであった。
そしてだ。先頭を行く先生達はだ。
二人でこんな話をしていた。
「ねえ、もう一気にいこうかしら」
「そうね」
実に呑気な調子のままだ。
「その方が楽よね」
「そうよね。だからね」
今田先生はにこにこと今日子先生に話す。
「もうそうしましょう」
「わかったわ。それじゃあね」
「ええ、あれね」
「あの魔法使いましょう」
「わかったわ。それじゃあ」
こう話してだ。そのうえで今仕掛けるのであった。二人の魔法を。
第三百十三話 完
2010・8・30
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