青葉時代・逝去編
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返事の様な物で。
そっか、と心の底から嬉しくなる。ミトが好きになる様な相手なんだから、きっと彼女の事を不幸にはしないだろう。
「なんとなーく、相手の察しは付いているんだけど……少しばかりお姉ちゃんは寂しいなぁ」
「柱間様!」
人柱力と言う道を選んだ彼女のこれから先の人生は、決して平坦な物ではないだろう。
でも……。
「大丈夫ですわ、柱間様。私の中には確かに九尾がいますけど、それよりも先に私の器には注がれた物がありますもの」
「そう?」
「はい。幼い頃からずっと……私は貴方の愛情をずっと受けていましたから。九尾が入ってくるよりも、もっと前から」
そう言って大輪の花の様な笑みを浮かべる妹の、解れた髪をそっと直す。
きょとんとした表情は幼い頃の日々を思い出させて、我知らず微笑みが浮かんだ。
「そうか……。幸せになるんだよ、ミト」
「柱間様?」
あの子ならきっと……ミトの事を幸せにしてくれるだろう。
だから、大丈夫。
*****
「火影様、早く中に戻って下さい。風邪を引かれますよ」
「大丈夫、大丈夫。言ったろ、今日は気分が凄くいいんだって。もう少ししたら、オレも中に入るから」
「はぁ……。後十分だけですからね」
夜空の星々を眺める。
火影邸の屋上は、私が見つけた星がよく見える絶景ポイントだ。
今宵は月の無い晩。その代わりに星々がこれでもか! とばかりに各々輝きを放っている。
中から持ち込んだ肘掛け椅子に座り込んで、黙って星空を見上げる。
静かで心地よい夜であったせいでどうしても瞼が重くなる。
――眠気に襲われて、じんわりと瞼が下がっていく最中に、とても美しいアカイロを見た。
「……やぁ、なんとなくそんな気はしていたよ」
ふふふ、と口から吐息が零れる。
それにしても眠たいせいか、瞼がとてつもなく重い。
勿体無いなぁ。折角目の前にはこんなにも美しいアカイロがあるというのに、目に焼き付けておけないだなんて。
「見たか、これが今の木の葉だ。人々は一生懸命、明日を目指して生きているぞ」
千手もうちはも、山中も奈良も秋道も。
油女も犬塚も、志村も猿飛も日向も――それぞれ一族の垣根を越えて、人々は同じ里の仲間として暮らしている。
「残念ながら、オレの見たかった光景にまでは至らなかったけど、それでもオレは満足だぞ」
出来れば里や国単位ではなく、それらを越えて人々が交流する姿をこの目で見たかった。
――けど、残念ながら時間切れらしい。
そういうニュアンスを込めて呟けば、まるで揺らめく炎を切り取った様なアカイロが不安定に揺れる。
ミトの赤い髪、九喇嘛の鮮血の瞳と合わせて、その色は私の好きな色だった
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