第三十一話
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第三十一話 静かになって
博士がいなくなると街は急に静かになった。華奈子達もそれにより暇を急に持て余すようになってしまった。これは六人にとっては意外であった。
「本当ならここであれよ」
美奈子が二人の部屋で華奈子に言う。
「新しい技の勉強とか修行とか」
「するところだけれどね」
華奈子も言葉を返す。二人は私服で話をしている。
「本人が宇宙に隔離されちゃったからね」
「流石にこれは考えていなかったわよ」
美奈子は困った顔でまた言う。
「あの島を怪獣ランドにしちゃうし」
「そうよね。洒落にならない位やばい宇宙人まで一杯入り込んでいるし」
「ええ。まああの部屋は置いておいてね」
美奈子はそこから話を移しにかかった。
「私達じゃどうにもならないし」
「光の巨人さん達よね」
「そういうこと。別に巨人があそこでキャンプしても心からどうでもいいけれど」
美奈子も華奈子も巨人が大嫌いだ。二人は実は横浜ファンなのである。なお他の四人もそれぞれ巨人が嫌いだったする。あの博士に至ってはドームを実験場にしようとしたことすらある。これに関しては彼女達の心は同じであった。博士に関してはそれが物騒になるが。
「とにかくね。相手がいないから」
「どうしよう、暫く」
「そうね。何でもすぐに帰って来るそうだけれど」
小田切君の言葉では、である。あの博士には常識は通用しないのでこれに関しては疑ってはいない。信じられなくてもだ。
「それまで。どうしようかしら」
「そうよね」
華奈子もそれには首を傾げさせる。
「遊園地で遊ぶ?」
「遊園地で」
「ええ。それはどうかしら」
こう美奈子に提案してきた。
「平和にね」
「そうね。それいいかも」
美奈子もそれに同意して頷いてきた。
「最近あの変態博士に気を取られてばかりだったしね。ここは楽しく」
「それじゃあ決まりね。じゃあ」
「ええ」
こうしておおよその話が決まった。しかしここで華奈子はふと気付いた。
「けれど」
「何かあるの?」
「六人で行くにしてもね」
彼女は言う。
「保護者同伴じゃなきゃやっぱり危ないかな。最近そういうの五月蝿いし」
「そうね。それじゃあ先生も誘ってみる?」
今田先生のことである。
「駄目だったら駄目でまた誰かに頼めばいいし。お母さんにでも」
「ええ。それじゃあ」
「遊びましょう」
こうして彼女達は遊園地に向かうことになった。久し振りに彼女達も楽しい日々を迎えることになったのであった。話は順調に進んだ。
第三十一話 完
2007・5・2
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