第三百五話
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第三百五話 落ち着きがもたらすもの
先生達は落ち着き過ぎる程落ち着いている。そうしてだ。
お茶を飲みながらだ。六人に言ってきた。
「皆さん、暑くないですか?」
「大丈夫ですか?」
「そりゃ暑いですけれど」
「その通りですけれど」
華奈子と美奈子がその先生の言葉に応える。確かに全身汗だくである。とにかく今は洒落にならない程熱かった。
「けれどそれでも」
「今は」
「そうですね。それではです」
「中に入りましょう」
先生達は話を聞いていない感じだ。この先生達は時としてこうした状況になってしまうのだ。天然にである。
「そしてですね。アイスクリームを食べましょう」
「水分も大切に」
「水分もですか」
華奈子が聞きなおした。
「温かいお茶の他にも」
「アイスティーがありますよ」
「グリーンティーも」
「グリーンティーですか。アイスの」
それを聞いて美奈子は少しだけ表情を変えた。そうしてこんなことを言うのであった。
「それじゃあ」
「そういえばあんた冷えたグリーンティー好きだったわよね」
「ええ。お砂糖を入れて甘くしたのがね」
美奈子の好物の一つである。抹茶は実は冷やして砂糖を入れるとだ。極端に甘くなるのである。
「大好きだし」
「そうよね。あたしもアイスミルクティー好きだし」
「とりあえずここは先生達の御言葉に甘えましょう。ここにずっといても熱中症になるだけよ」
「そうよね、やっぱり」
「博士との戦いもいいけれど」
それでもだという美奈子だった。
「それよりもまずはね」
「体調管理、そしてエネルギー補給ね」
「そういうことよ。それじゃあ」
「わかったわ。先生」
ここでは華奈子が六人を代表していた。他の面々も彼女や美奈子と同じ意見だった。暑さには流石に勝つのは容易ではなかった。
「御願いします」
「はい、皆さん中に入りましょう」
「そしてアイスと冷えたお茶を」
「わかりました」
「是非御願いします」
こうして全員先生の屋敷の中に入る。中に入るとあらためてわかる物凄い大きさである。
その中に入ってだ。ふと華奈子が美奈子に対して言った。
「そういえば先生ってここに一人なのかしら」
「そうじゃなかったかしら」
「一人でこの屋敷って」
華奈子は美奈子にそのことを聞いて首を捻った。
「寂しくないのかしら」
「どうかしらね」
そんな話をしているとであった。六人と使い魔達の前に出て来た。それは思いも寄らぬこの屋敷の住人達であった。その彼等とは。
第三百五話 完
2010・8・5
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