第三十話
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第三十話 暫し休戦
「ということだから」
またしても世界を大騒ぎにさせる騒動を引き起こしてしまった博士は遂に人工衛星に乗せて宇宙に隔離されることになった。小田切君はわざわざ塾まで来て六人に説明する。
「博士暫く戻って来ないんで。休戦になったから」
「宇宙空間ねえ」
それを聞いた時点で六人は空いた口が塞がらなかった。
「何か極端ね」
「まあ仕方ないって言えば仕方ないわね」
梨花に美樹が言う。
「いきなり竹島で巨大怪獣上陸させて大きくさせて怪獣の島にしちゃったら」
「そうね」
「そういえばあの島どうなるのかしら」
春奈はここでふと思った。
「怪獣さん達がいたら誰も近寄れないわね」
「そうよね」
赤音はその言葉に頷く。
「どっかの映画とか特撮番組で出て来た怪獣もかなりいるし」
「ああ、博士の知り合いの悪質な宇宙人も一杯来ているから」
小田切君はさりげなくとんでもないことを言う。
「近寄ったら本当に命の危険どころじゃないよ」
「悪質な宇宙人ねえ」
華奈子はそれを聞いて腕を組んで眉を顰めさせる。
「そのうち何処かから光の巨人でも来るんじゃないかしら」
「まあそうなったら完全に私達の問題じゃないわね」
美奈子も言う。そのうえで小田切君は彼女達に語る。
「だから博士は宇宙に隔離されたから。暫く会えないよ」
「暫くなの?」
華奈子がそれに問う。
「宇宙だったら普通絶対に帰られないんじゃ」
「ああ、それは大丈夫」
小田切君は首を横に振ってコメントする。それについては完全に安心しているようであった。
「博士は宇宙空間でも何処でも平気で帰って来る人だからね」
「何か滅茶苦茶ですね」
美奈子はそれを聞いて華奈子と同じ顔になった。その顔つきもよく見れば華奈子のそれとよく似ている。やはり双子であった。
「それって」
「まあねえ。とにかく帰って来るまでは停戦ね」
「はい」
「ところで小田切さん」
華奈子がここで小田切君に問うてきた。
「何かな」
「何でここにあたし達がいるってわかったんですか?」
「ああ、それは簡単だよ」
小田切君はその質問に答える。
「ここの先生も博士と戦ったことがあるから。それで知り合いだったんだ」
「そうだったんですか」
「うん。だからまた何かあったら宜しくね」
「はあ」
何気に多くの人と戦った経験のある博士なのであった。何はともあれ一時は街と地球に平穏が戻りそうであった。本当に一時だけなのであるが。
第三十話 完
2007・4・25
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