第二百九十三話
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第二百九十三話 何がはじまるか
「ああ、あがったんだね」
「丁度いいところだよ」
小田切君がお風呂からあがったところでだ。タロとライゾウが声をかけてきた。
「はじまるよ」
「今からね」
「ああ、首切りね」
小田切君は二匹の言いたいことが何かすぐに察した。
「それなんだね」
「丁度今一体暴力団の事務所に入ったんだ」
「マシンのカメラから実況できるよ」
「成程」
小田切君は二匹のその言葉に頷きながらだ。テレビを観る。
百インチのそれにだ。丁度その実況の光景が映し出されていた。それは。
まず暴力団員達がいた。勿論中は事務所だ。任侠の文字まである。
その暴力団員達がだ。口々に言っていた。
「な、何だこりゃよ!」
「あの博士のマシンか!」
「今度は何だ!」
「ああ、やっぱりわかるんだ」
小田切君は暴力団員達の言葉を聞いて頷いた。
「そりゃね。こんなマシンはね」
「博士しかいないからね」
「開発するのは」
「そうだね。それじゃあだけれど」
「凄いことになるよ」
「それは確実に言えるからな」
タロとライゾウもそれぞれテレビの前に座ってそのうえで観ている。
「首切られるからね」
「しかも電気ノコギリでな」
「あれっ、その電気ノコギリだけれど」
小田切君はここでマシンのそのノコギリを見て言った。
「何か違うね」
「そういえば右は丸くて」
「左は細長いものになってるな」
「変わったんだ」
「みたいだね。何でかな」
小田切君はそれについて考えた。するとだ。
ここでタロとライゾウは言う。博士の趣味から推察してである。
「やっぱりあれだろうね。色々な殺し方が見たい」
「それしかないね」
「相変わらずとんでもない人だね」
「わかってることだしね」
「それはもうな」
「だよなあ。まあとにかく」
あらためて言う小田切君だった。
「これから何が起こるか」
「じっくりと観るか」
「そうしようか」
「お菓子もあるし。お茶もね」
そうしたものも用意したうえでだ。そのこれから起こることを観る彼等だった。それはもう実に慣れたものであった。
第二百九十三話 完
2010・5・31
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