第二百九十一話
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第二百九十一話 回転ノコギリ
日本中で起こる騒乱を見てもだ。博士はまだ満足しないものがあった。それが何故かというとである。スペイン産のワインを飲みながらの言葉だった。
「ふむ、ここはじゃ」
「今度は何を考えてるんですか?」
「演出をするのじゃよ」
こう言うのであった。
「少しな」
「少しですか」
「暴走族や暴力団員の首を刎ねるマシンを作る」
今度はこんなものを考えるのであった。
「少しのう」
「首切り用のマシンですか」
「左様、それを考える」
楽しげな笑みを浮かべての言葉だった。
「今からじゃ」
「それで今度はどんなマシンですか?首を切るといいましても」
小田切君は話しながら頭の中でだ。自分が思いつく限りの首の切り方を考えていく。しかしどれも常識の範囲内のことであった。
「刀とか斧とか鉈で切るんですか?それともギロチンですか」
「いやいや、簡単に切っては面白くない」
これが博士であった。ただ殺すだけでは満足しないのである。
「ここはじゃ」
「それでどうするんですか?」
「どうするもこうするもじゃ」
「はい」
「回転ノコギリを使う」
これまた非常に物騒なものだった。これであった。
「これを使ってじゃ。首をどんどん刎ねていくのじゃよ」
「何かえげつないですね」
「そうじゃ、えげつないからこそいいのじゃ」
実に素っ気無くとんでもないことを言う。
「それでいいのじゃよ」
「じゃあ実際にそれでいくんですね」
「あれで切られることはかなりの恐怖じゃ」
殺す相手にこれ以上はないものはないまでの恐怖を与える、これも博士の趣味であった。何処までも残虐な博士であった。
「死ぬまでに最高の恐怖をじっくりと堪能させてそのうえで」
「殺す為にも」
「回転ノコギリは最高じゃ」
まさに殺すことだけを考えていた。
「よいな。では早速開発する」
「はあ。それでやっていくんですか」
「さて、さらなる大量殺戮の開始じゃ」
博士はワインを飲み干してだ。生き生きとした顔で言う。
「よいことじゃ」
「それでまた殺していくんですね」
「研究に犠牲はつきものじゃ」
こんなことまで言うのであった。
「ではのう。はじめるか」
「私はどうすればいいんですか?」
「まあ適当にパソコンでもいじっておいて留守番しておいてくれ」
それだけだというのであった。本当にそれだけなのだった。
「ではな」
「わかりました」
こうして開発の楽しみにも浸る博士であった。それはまさに次の惨劇へのプレリュードであった。
第二百九十一話 完
2010・5・24
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