第二百八十八話
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第二百八十八話 生首
博士の話をしているとだった。小田切君達のところに急に何かが出て来た。
見ればそれは。何と生首だった。
それが宙を浮かんでいる。そのままふらふらと飛んでいるのである。
「何だろうね、これって」
「博士だな」
「そうだね」
二匹はすぐにこう察したのだった。
「これはな」
「他に有り得ないから」
「見たところまた暴走族を捕まえて実験したんだな」
見れば如何にも柄の悪そうな顔ばかりである。十代の顔である。
「それでこれなんだ」
「ってことはまた殺したんだな」
「首が離れてるしね」
出て来る答えは一つしかなかった。
「やっぱり。これは」
「首切ったのかな」
「まあ殺したのは確実だね」
小田切君もそれは察していた。
「それ位全然平気な人だしね」
「だよな、やっぱり」
「他にはないよね」
「しかし今度は何をするんだろう」
小田切君が次に考えたのはこのことだった。
「ただ首を切ってこうしてふらふらさせてるってことも考えられるけれど」
「それじゃないのか?博士だしな」
「遊びで人を殺す人だし」
気まぐれや気分転換で生体実験もしたりする。それが博士だ。
そしてその生首がだ。
不意に爆発したのだった。いきなりである。
小田切君達もそれを見てだ。とりあえず唖然となった。それから言うのだった。
「まさかと思うけれど」
「ああ、悪戯だよな」
「人を驚かせる為の」
「その為にわざわざそうしたんだ」
小田切君は言った。
「暴走族の首を切って生首に」
「それだけではないぞ」
ここでその博士が出て来て言ってきた。
「身体も改造してじゃ。街中を歩き回らせておるぞ」
「ゾンビみたいなことをさせてるんですね」
「そうじゃ。そうしておる」
まさにそうだというのである。
「どうじゃ。面白いじゃろう」
「それで今度は何人殺したんですか?」
「さて。二百じゃったかな」
実に素っ気無い返答であった。
「その程度じゃ。大した数ではない」
「そうですか」
とりあえずまた騒動になるのであった。今度は首なし死体と動く生首だった。
第二百八十八話 完
2010・5・11
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