第二百八十六話
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第二百八十六話 新聞の一面
次の日の新聞はだ。何処も盛況だった。
博士はその各紙をわざわざ取り寄せてである。実に上機嫌であった。
「よいぞ、よいぞ」
「今回の悪事は大成功だったからな」
「それでなんだね」
「うむ、そうじゃ」
だからだとライゾウとタロにも言うのであった。今はモーニングののトーストとハムエッグ、それにサラダとミルクという完璧な洋風の朝食を食べている。
そうしながらだ。博士は言うのだった。
「今朝のわしは実に気分がいい」
「じゃあさ。後はどうなの?」
「この話はこれで終わり?」
「うむ、目的は達した」
ミルクカップを左手に持っての言葉である。
「今回はこれで終わりじゃ」
「何か素っ気無いね」
「そうだね、博士にしてはね」
ライゾウもタロもそれを言う。
「ただドームと本社破壊してそれで終わりだなんて」
「そうだよね。普段はもっと派手に暴れるのに」
「大丈夫じゃ、もう次は決めておる」
今度はハムエッグをフォークとナイフで素早く切りながらの言葉だった。
「帰りにじゃ。次はじゃ」
「ああ、やっぱり破壊するんだ」
「それで何処なの?」
「あのテロ支援国家の出先機関とその関連学校じゃ」
そこだというのである。
「そこを徹底的に破壊しておく。何が無償化じゃ」
「ああ、あれね」
「確かに図々しいよね」
「小悪党国家が偉そうなことを言いよるわ」
伊達に大悪党ではない。少なくとも博士は悪ということにおいてもそいじょそこいらの国家を遥かに凌駕していた。当然個人なら尚更である。
「そういう奴にはお仕置きじゃ」
「それでなんだね」
「今から破壊するんだね」
「そうじゃ、まあ軽くお仕置きしておく」
博士にとってはそうしたことは実に些細なことであった。伊達にただ気に入らないという理由で多くの暴走族や暴力団、街の不良達を殺戮しているわけではない。
「軽くな」
「今度は人が死ぬかもね」
「まあいいか」
ライゾウもタロも冷酷とも取れる言葉だった。
「あの国と関連機関はね」
「その協力者もね」
「気に入らん奴は次々と天誅を下す」
勝手に天誅とまで言う。
「では。行くのじゃ」
「朝からまた派手なことになるね」
「そうだね。まああの連中ならどうでもいいし」
「本当の楽しみはこれからじゃよ」
博士はトーストを食べている。その言葉には何の迷いもなかった。人がどれだけ死のうともだ。
第二百八十六話 完
2010・5・3
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