第二百八十三話
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第二百八十三話 東京へ
博士のマシン達は恐ろしい速さで東京に向かう。小田切君は博士の研究所のモニターからその様子を見ている。そのうえで側にいる博士に対して言った。
博士は今くつろいでいる。見ればスタンダールの赤と黒を優雅に呼んでいる。
その博士にだ。今言ったのであった。
「あのですね」
「何じゃ?」
「本読んでますけれど」
問うのはこのことだった。
「いいんですか、それで」
「本を読んで悪いのか?」
博士は平然と小田切君に対して返した。
「それでじゃ」
「それは悪くないですけれど」
「ではよいな」
「観ないんですか?」
博士に対して言った言葉はこれであった。
「今マシン達が東京に向かってますけれど」
「ふむ、そうじゃな」
それを聞いてやっと応えた博士だった。
「ではそろそろ観るとするか」
「かなりくつろいでますね」
「人間ゆとりが大事じゃ」
二百億年生きている人間らしき者の言葉である。
「楽しくなるまで待っておったのじゃ」
「そうなんですか」
「そうじゃ。では観るとするか」
また言う博士であった。それと共に椅子から立った。そのうえでモニターの前まで来た。見ればマシン達はもう箱根の方まで来ているのであった。
「速いですね」
「超音速じゃからな」
それで飛んでいるのである。速いのも当然である。
「では間も無くじゃな」
「ええ、もうすぐですね」
「楽しい祭りのはじまりじゃ」
最初から笑っている博士であった。
「さて、あの忌々しいドームも親会社のビルもじゃ」
「全て破壊ですか」
「何が球界の盟主じゃ」
博士は忌々しげな言葉になっていた。
「そんなものはありはしないのじゃよ」
「それで破壊ですか」
「気に入らん。ではやるか」
こうしてであった。一直線に向かうマシン達であった。災厄が東京に向かっていた。
そうしてである。博士はまた言うのであった。そのマシンを観ながらだ。40
「よいぞよいぞ」
「あともう少しですね」
「まずはドームじゃ」
博士は笑っていた。破壊を楽しむ物騒な笑みである。
「さて、跡形もなく破壊してやるぞ」
「中に誰もいないですかね」
「とっくの昔に破壊予告をしておる」
「じゃあもう逃げて誰もいませんね」
「ヤクザ者や暴走族なら幾らでも踏み潰すぞ」
何気にこの後でだ。博士は横須賀や湘南で暴走族狩りをするつもりだった。やはり何処までも物騒な博士であった。
第二百八十三話 完
2010・4・26
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