第二百八十話
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第二百八十話 ドーナツ
そのドーナツが小田切君の手で運ばれてくる。そうしてであった。
「ではオールドファッションじゃな」
「それですか」
「まずはそれじゃな」
こう言う博士だった。
「それが欲しくなった」
「ではどうぞ」
「うむ。それでコーヒーは」
「もうすぐできます」
返答は簡潔であった。
「もう少し待って下さい」
「わかった。それではな」
「それでなんですけれど」
ここまで話してであった。小田切君はまた言ってきた。
「あの、博士」
「どうしたのじゃ、それで」
「博士はドーナツはどれが一番お好きですか?」
それを問うのであった。問いながらそのコーヒーを持って来た。既にカップ等は博士が造ったロボット達が持って来ている。何かのアニメに出て来た様な緑色でトマホークを持った如何にもやられ役の外見のロボットである。
「ドーナツは全部お好きなようですけれど」
「まあエンゼルショコラじゃな」
「それですか」
「それがいいのう」
こう答えるのであった。
「他のも好きじゃがな」
「まずはエンゼルショコラですか」
「そうじゃな」
その通りだと頷きもする。
「やはりそれじゃ」
「こだわりなんですね」
「わしはこだわる男」
もう小田切君が最もよく知っていることだ。
「さすればそれはドーナツも同じ。違うかのう」
「そうかも知れないですね」
一応頷く小田切君だった。
「それもまた」
「何か今一つはっきりしない返答じゃな」
「というかいつものことですし」
「だからか」
「はい、だからです」
「味気ないのう」
「だからいつもだからですよ」
小田切君の返答はこれしかなかった。
「全く。そのこだわりがまたとんでもないことを引き起こすし」
「天才だから常じゃよ」
「字が違うんじゃないんですか?」
「やれやれ、今日の小田切君は何かいらいらしておらんか?」
「阪神が負けたからですよ」
「それでか」
最後に理由もわかった。今はとりあえず平和な博士達であった。
第二百八十話 完
2010・4・10
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