第二百七十五話
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第二百七十五話 双子だからこそ
魔法の練習を終えてだ。二人は自分達の部屋に入った。まずは華奈子が言ってきた。
「やっぱりね」
「やっぱりって?」
「美奈子がいたらね。やっぱり違うわね」
こう言うのである。
「実際にいてくれたら」
「そうなの」
「実は色々とイメージトレーニングしたりとかノートに書いて考えたり勉強したりしていたのよ。それはそれでかなりいい経験になったけれどね」
それはだというのだ。
「けれどね」
「けれど?」
「やっぱり違うわね。二人一緒だと」
にこりと笑って話す。
「それも全然ね」
「華奈子」
美奈子はその華奈子に対して自分からも言ってきた。
「いいかしら」
「どうしたの?」
「私もね。音楽のことだけれど」
「うん」
「華奈子と一緒だと全然違うの」
「美奈子の音楽も?」
「そうなの」
こう双子の相方に返す。そしてそれは嘘を言っている言葉ではなかった。
「それはね。だからね」
「だから?」
「よかったら一緒にね」
「あたしもフルートとかバイオリンとか」
「華奈子はサックスだけれど」
それに対して美奈子はフルートである。クラウンでは二人がそれぞれその楽器を操り同時にヴォーカルもしている。二人の息は最高に合っている。
「それで御願いできるかしら」
「あたしがサックスを吹くのね」
「それで私がフルートを」
やはりそうするというのだ。
「御願いしていいかしら」
「あたしはいいけれど」
華奈子は自分はそれでいいと答えた。
「けれど。あたしはサックスでしか吹けないけれどそれでいいのね」
「ええ、それで御願い」
「わかったわ。じゃあそれでね」
「はじめましょう」
「早速なのね」
美奈子のその言葉の調子を聞いて話した。
「もうはじめるのね」
「思い立ったらっていうから」
美奈子の決断は早い。この辺りは姉妹同じであった。
「それでね」
「よし、じゃあ早速ね」
こうして二人で今度は音楽の練習をする。二人の息はそれでも完璧なまでに合っていた。やはり双子だった。
第二百七十五話 完
2010・3・29
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