第二百七十三話
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第二百七十三話 美奈子と合流
華奈子はそのままタロ、そしてライゾウと共に魔法の勉強を続けていた。しかしその勉強をしている中庭においてふと言うのだった。
「ううん、かなりやったけれど」
「じゃあ満足じゃないのか?」
「そうじゃないの?」
「やっぱり美奈子がいないと」
こう言うのである。
「どうにも実感がわからないから」
「だからそれは仕方ないだろ?」
「美奈子さんいないんだし」
二匹はそれは仕方がないという。それはどうしてもというのだ。
「だからそういうのもイメージトレーニングしてるんじゃないか」
「そうじゃないの?」
「それはそうだけれど」
そのことには頷く。しかしなのだった。
「けれど、それでも」
「まあそう言うなって」
「言ってもどうしようもないじゃない」
華奈子を慰める言葉だった。
「それよりもだよ。今やれることをやるんだよ」
「ないものねだりをしても仕方ないよ」
「ううん、そうだけれどね」
こうは言ってもそれでも困った顔になる華奈子だった。
「やっぱり美奈子がいないとねえ」
「やれやれ、困ったな」
「結局美奈子さんなんだね」
「あたしも自分でもそう思うわ」
それでもだというのだ。華奈子自身もわかってはいるがそれはどうしてもだという。これは絆故のことであり実にややこしい話であった。
「でも。とにかく美奈子がいないと完全じゃないのよ」
「そうよね」
ここで誰かの声がしてきた。
「私も。華奈子がいないと」
「そうよね。やっぱり双子だし」
「そうね。私達は」
「って待って」
ここで気付いた華奈子だった。その声の主は誰かだ。
「美奈子、帰ってきてたの」
「ええ、今ね」
見ればそこにもういた。美奈子は微笑んで立っている。その足元にはタミーノとフィガロもいる。服もあの紫の法衣を既に身にまとっている。帽子もだ。
「帰ってきたのよ」
「早いわね。っていうか」
「聞いたわ。私が必要なのよね」
「ええ、それはね」
こう返す華奈子だった。
「やっぱり。あたし達って双子だから」
「そうよね。それじゃあね」
「有り難う」
もう言葉は不要だった。二人は早速並んで構えに入った。
第二百七十三話 完
2010・3・23
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