第二十七話
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第二十七話 弱点発覚
異変の元は博士であった。急に動きがおかしくなりだしたのだ。
「一体どうしたのよ」
華奈子はそれを聞いて目を瞠る。そのうえで小田切君に問う。
「頭がおかしくなったの!?」
「ちょっと華奈子」
あまりにもぶしつけな問いに美奈子が思わず突っ込みを入れる。
「幾ら何でもストレート過ぎるわよ」
「だけれどねえ。やっぱり」
「やっぱりも何もないわよ」
美奈子はまた突っ込みを入れる。他の四人も今の華奈子の言葉には少し凍っていた。
「とにかく。どうしたんですか?」
あらためて春奈が小田切君に問う。
「急に様子が変になられましたけれど」
「ああ、ワインのせいだね」
小田切君はそう春奈に答える。それでも六人には首を傾げるものがあった。ワインでこうなるとは思わなかったからである。
「ワインでこうなるの?」
「さあ」
赤音の言葉に美樹が首を傾げさせる。どうにもわからないといった顔であった。見れば博士は急に訳のわからないことを喚き出していたのである。
「偉大なるショッ○ー首領に乾杯」
畏まって言い出す。ワインを掲げてポーズまで取っている。
「そして世界を我等が首領のものに」
「首領って」
「一体何が」
「ああ、これ寝言だから」
小田切君は呆然とする六人に対して述べる。
「気にしなくていいよ」
「気にしなくていいって」
「あの、博士って寝ながら目が開いてるんですか?」
「そうなんだよ」
さりげなくとんでもない習性を持つ博士であった。実際に目を開けて堂々と寝言を言ってきている。
「世界を破滅させる!!」
「言ってることは変わらないよね」
「だから華奈子、そんなに率直に言わないの」
また美奈子が突っ込みを入れる。
「変な風になるから」
「だけれどこれは」
それでも華奈子は言う。言わずにはいられなかったのだ。
「起きても寝てもこんなのじゃやってられないんじゃ」
「ああ、大丈夫」
しかし小田切君はあくまで落ち着いていた。慣れた顔であった。
「すぐ完全に寝るから。すぐに目を開けたまま寝てる状態になるけれど」
「何てややこしいのよ」
華奈子も他の面々もこれには呆れる。
「迷惑っていうか」
「何ていうか」
「まあその間にね」
小田切君はすぐに博士の手からリモコンを取ってスイッチを押す。そうしてエンペライザーをすぐに元の車椅子に戻したのであった。相変わらず信じられない小ささになる。
「こうすればいいから」
「いいからって」
「何か凄い簡単に終わったような」
ところが博士はまだいる。エンペライザーがなくとも歩く核弾頭がそこに残っていたのであった。
第二十七話 完
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