第二百六十二話
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第二百六十二話 文字を考えて
華奈子は自分の使い魔達にその文字を見せた。そのうえで、であった。
アルファベットで書いたその文字を飛ばしてみせる。だがここで彼女は言うのだった。
「ちょっとねえ」
「ちょっとって?」
「何かあるの?」
「ええ、何かね」
首を傾げながらの言葉だった。
「何か文字の威力が弱くない?」
「威力が?」
「それが?」
「そうよ。それに」
自分が書いて操っているその文字を見ての言葉である。
「しかも動きだって遅いし」
「そうかな」
「気のせいじゃないの?」
「いえ、やっぱり弱いし遅いわ」
自分への妥協はなかった。それは決してである。
「やっぱりね」
「じゃあ一体」
「ここはどうするの?」
「私の魔法がまだまだ弱いのかしら」
最初に考えたことはこれだった。
「それでなのかしら」
「それじゃあもっと修業する?」
「そうして威力も速さももっとあげて」
「それしかないわね」
そして修業することに決めたのだった。
「それで文字をもっと強くしてね」
「そうだよな。やっぱり修業しないと」
「魔法も強くならないからね」
二匹はここで自分達のことに当てはめても述べた。自分達も今さっきまでその魔力を強くする為に修業していたからである。これは何よりも確かに実感できることだった。
「いいと思うぜ、それでな」
「まずは何につけても修業だからね」
「そうね。それじゃあ」
あらためて二匹の言葉に頷いてであった。
さらに文字を書いていく。何度も何度もであった。
「これでどうかしら」
「もっとしてみたらどうかな」
「そうだよ、もっとだよ」
二匹はここで主にさらに告げた。
「数をしないとね」
「それで文字は次から次に消してね」
「消すの」
念じればだった。それだけで消えた。これは魔法だからだ。魔法は出した本人が念じればそれで消えるのである。少なくとも華奈子達が習っている魔法はだ。
「そうだよ。火なんだから」
「危ないからね」
それが理由であった。
「それに消すのも修業のうちじゃない」
「だからね」
「わかったわ。それじゃあ」
華奈子は二匹のその言葉に頷いた。そうしてそのうえで出したその魔法を消して次の魔法を出していく。そうしながら修業を続けていくのであった。
第二百六十二話 完
2010・2・7
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