第二百六十一話
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第二百六十一話 炎の文字
華奈子のその魔法を見ることになった二匹はまず彼女について家の庭に出た。そうしてそこで彼女の魔法を見させてもらうのだった。
「それでさ」
「一体どんな魔法なの?」
「うん、それはね」
まずは二匹の言葉に頷いてであった。既に法衣には着替えている。いつもの赤い法衣である。6
「こうしてね」
「あっ、火が出たね」
「そうだね」
ステッキを動かすとそれだけでそのステッキの先に火が点いた。それが虚空をまるでペンの様に文字を描いていくのであった。
そしてその文字が何かというとであった。
アルファベットである。そこで何やら書かれている。
しかし二匹はその文字を見てだ。首を傾げるばかりであった。そうしてこう華奈子に対して問うのであった。
「ええとさ」
「何て読むの?」
「英語でね。ファイアーっていうのよ」
それだというのである。見れば確かに大文字でそう書かれていた。その火で書いた文字が宙に浮かんだままで燃えているのである。
「これはね」
「御主人が使う魔法そのものだよね」
「そうだよね」
二匹はその文字と彼女の言葉の両方を確かめながら答えた。
「つまりは」
「けれどこれが一体」
「こうしてね。魔法で文字を書くでしょ」
あらためて二匹に話す彼女だった。
「そうしたらね」
「そうしたら?」
「それでどうかなるの?」
「うん、この文字を飛ばしたり」
実際に飛ばしてみる。文字がそれぞれ自由自在に動きだした。
「好きなように操ったりできるんだけれど」
「それって凄いんじゃないか?」
「かなりね」
二匹は実際にその文字がそれぞれ動くのを見ても話した。
「そんな魔法も身に着けたんだ」
「御主人もやるじゃない」
「ほら、博士と戦ったじゃない」
話をそこにまで遡らせての言葉だった。
「それで考えたのよ。こうした魔法もどうかなってね」
「それを美奈子ちゃんの魔法と一緒にだね」
「使うんだね」
「美奈子はね」
ここで華奈子はあらためて真剣な顔になって述べた。
「召喚魔法使えるしね。凄いのが」
「だよね。最近使わないけれど」
「あれは凄いよね」
紫の魔女の頃の話である。あの時の美奈子の魔法のことは皆よく覚えていた。
「あの魔法とこの魔法一緒に使ったらどうかって思ってね」
「成程な」
「それでなんだ」
ここで主の考えがわかった二匹だった。またしても魔法の修業であった。
第二百六十一話 完
2010・2・7
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