第二百五十六話
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第二百五十六話 覚える魔法は
二匹はトレーニングの後で話をしていた。場所は家の中である。華奈子と美奈子の部屋でそれぞれああだこうだと話をしているのである。
「僕はやっぱりあれだよね」
まずタロが言う。
「速さと持続の魔法だよね」
「旦那はそれでいいと思うぜ」
ライゾウは彼のことにはそれで太鼓判を押した。そうして次に自分のことも言うのであった。
「それでおいらはな」
「うん、やっぱり隠れる魔法だよね」
今度はタロがライゾウに対して話す。
「それが一番だよ」
「そうだよな。じゃあそれで決まりか?」
「あとまだ何かあるかな」
しかしここでタロがさらに言う。二匹は座って話をしているのである。
「他には」
「他にはなあ。何か派手な魔法でも覚えるか?」
「派手な魔法?」
「御主人達みたいなのだよ」
ライゾウは華奈子達を話に出してきた。
「ああしたな。派手で威力抜群の魔法をな」
「そういうのを覚えるの」
「それでどうだよ」
こうタロに提案するのである。
「何かそうした魔法をな」
「そうだね」
タロはライゾウの提案にまずは一呼吸置いた。それから述べた。
「悪くはないね」
「旦那もそう思うか」
「悪くはないけれど」
しかしであった。ここで言葉が曇るのであった。
「ただね」
「ただ?何かあるのかよ」
「どういった魔法を覚えようって考えてるの?」
実に具体的なことをライゾウに問うのであった。
「ライゾウはさ、どういった魔法がいいのかな」
「そう言われると」
困った顔になるライゾウだった。やはり表情豊かな猫である。
「ちょっとな」
「そこまで考えてなかったんだ」
「旦那はどうなのがいいと思う?」
逆に彼に問う始末であった。
「それでだけれど」
「わからないな」
こう言うしかないライゾウであった。
「そう言われてもね」
「旦那もわからないのか」
「だっていきなりそんなこと言われても」
突然だと、というのである。
「すぐに言える訳ないじゃない」
「それもそうか」
「どうしようかな、本当に」
「さてな」
二匹の前に壁が出て来た。そしてそれはどういった壁なのかさえわからないものであった。
第二百五十六話 完
2010・1・18
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