第二百五十五話
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第二百五十五話 柔軟から
ライゾウとタロはだ。華奈子が学校に行っている間に自分達で家の庭に出た。そうしてそのうえで緑の芝生の上でまずは準備体操をするのだった。
やはり猫だけあってライゾウの身体は柔らかい。タロはその彼を見て言う。
「やっぱり猫だけはあるね」
「柔らかいってか」
「そうだよ。犬に比べてずっとね」
ライゾウ自身もそれについて言ってきた。身体を曲げるとまるでボールの様である。
「柔らかいからな」
「犬はそんなに曲がらないからね」
タロは身体を前にやってみる。しかしやはり猫程には曲がらないのであった。
「そこまではね」
「まあ犬と猫じゃ何もかもが違うからな」
ライゾウはこうそのタロに対して言う。
「別に気にすることはないんじゃないかな」
「そうかな」
「そうだよ。猫は猫、犬は犬」
ライゾウは四足で身体を伸ばしながら述べた。
「それぞれできることとできないことがあるじゃないか」
「言われてみればね」
タロもライゾウのその言葉に頷く。
「それはその通りだね」
「そうだろ?例えば旦那はさ」
「うん」
「凄く長く走られるじゃないか」
このことを言うのである。犬の長所をだ。
「そうだろ?相当な」
「走るのは得意だよ」
タロ自身それを認める。今は二匹共ストレッチを終えてもとの四足で立っている姿勢に戻っている。そのうえで話をしているのであった。
「やっぱり犬だし僕は元々狩猟犬の種族だしね」
「甲斐犬だったよな」
「うん」
その犬だと答えるのであった。
「そうだよ」
「それだよ。おいらはそういうのは駄目なんだよ」
スコティッシュフォールドのライゾウの言葉である。
「長く走るのはな」
「そのかわり君は隠れるのが上手だよね」
「ああ、それだよ」
その話になるとにこりと笑って話すライゾウであった。猫であるがその表情はかなり豊かである。喜怒哀楽が顔にそのまま出ている。
「それなら任せておけよ」
「つまりそういった個性をそれぞれ活かせば」
「御主人の役にも立てるよな」
「そうだね。僕が走って」
「おいらが隠れる」
役割分担もできてきた。
「そういうことでいいかな」
「そうだな。後はだ」
「うん。後は?」
「ちょっと魔法の勉強していくか」
「そうだね。僕達も使い魔だし」
こうしてトレーニングの後で魔法の勉強に入る。彼等も真面目に使い魔として考えていたのである。決して遊んでばかりいるわけではないのだ。
第二百五十五話 完
2010・1・18
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